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第5章ネイル業界を変えるために

「美容業もホワイト企業は可能。
それを証明したかった。」

現在、「ファストネイル」は全国に55店舗。業界シェア1位を目指すからには拡大路線を続けると思いますが、出店スピードにはこだわっていますか?

スピードだけにはこだわっていません。新店を出すには人材が必要ですから、採用が追い付かないのに無理に出店すれば既存店舗にシワ寄せがいってしまいます。人手不足で労働環境が悪化することを避けるため、必要な人数が確保できている範囲で出店していきます。

関東を中心に東海、関西などに店舗を展開していますが、出店先の選び方は?

おかげさまでIPO(新規株式上場)をしたことで、商業施設さんから出店のオファーをいただくことも増えました。しかし手当たり次第ではなく、出店先は「優良物件」に絞りたいと考えています。

優良物件かどうかは、そのエリアのポテンシャルから判断します。たとえばネットでの検索数と近隣のネイルサロン数、つまり需要と供給のバランスを調べれば、そのエリアに開拓の余地があるかがわかります。もちろん、そのマーケットの客単価もみています。リーズナブルな「ファストネイル」が受け入れられるマーケットであることも重要です。

IPOのお話が出ましたが、上場にあたって苦労されたことはありますか。

苦労というわけではないですが、投資家の方々は男性が中心なので、残念ながらネイルビジネスと聞いてもピンとこない方が多かった。「でも実はビジネスとして可能性が大きく、チェーン展開して成長していけるビジネスなんですよ」と説明を何度も繰り返しました。ネイルサロンがビジネスとしてはまだ十分に認知されていないのだなと実感しましたね。

でもIPO自体、こうしてネイルビジネスの可能性を証明するためにしたんですよ。まだ、ネイリストの職業としての社会的地位は決して高くはないのが現実です。美容系はキツイ、ブラックなイメージがつきまといます。そんなイメージを打破するため、非常にホワイトな労働環境でも成り立つビジネスであると世間に知ってもらうため、クリーンなビジネスの証しとするために、弊社はIPOに踏み切ったんです。

ネイル業界が、どのような業界になることを願っていますか?

ネイルは職業柄、若い女性を雇うことも多い業界です。そして彼女たちの背後には親御さんがおられます。「ネイルの仕事をするんだ」と娘さんから聞いた時、心配するのではなく「それはよかったね」と喜んでもらえるような業界にならなければいけません。

業界の世間的評価がその立ち位置になれたら、結果としてネイリストは確実に増えていく。そしてお客さまも増えていけば、ネイルサロンの市場規模は現在の1700億円から容易に拡大していくでしょう。ネイルサロンに通う女性が20%になったら、3400億円規模も行けると見込んでいます。

業界が現在のままでは実現はまだ先の話でしょうが、我々のような企業が増えれば成長速度は加速していく。だから、弊社に続く第2、第3の株式公開企業が現れて、「クリーンな業界・ビジネスである」と、どんどん証明していってほしいですね。

現在は習慣的にネイルに通う女性はわずか1割。壷井さんの想い描く未来像では、何割くらいの女性がネイルを楽しんでいるのでしょう。

職業的にネイルができない方もいますし、全女性が出来るとは思っていません。ただ、まだまだ増やせる。弊社に営業にやってきた金融機関の女性も、最初はネイルをしていませんでした。御社はネイルが禁止なのかと尋ねると、「そういうわけではない」と言う。そこで「一度でいいから、ファストネイルに行ってみてくださいよ」とお話したところ、次に会った時はネイルをして来てくれた。「上司に叱られましたか?」と職場での反応を伺うと、評判が良かったそうで、それからはずっとリピートしてくれているようです。

このエピソードから、私はネイルの将来的な可能性を再認識しました。ただ何となく、周りがネイルをしていないし慣習的に避けていたけれど、お堅いイメージの金融機関でも実際はOKだった。だから時間的にも金額的にも気軽にネイルができる弊社のビジネスが広まっていけば、これまで縁がなかった人にもネイルはもっと身近なものになっていくはず。

その昔、ピアスは不良少女がするものと思われていた。しかし、今そんな風に思う人はどこにもいないでしょう。それどころか男性がしていても不思議に感じない。支持されるオシャレは時とともに必ず拡散するんです。個人的には、学校の先生がネイルを楽しむ時代が来たらゴールかなと。だって、先生がネイルを絶対にしてはいけない理由が見当たらないと思うから。そこまでいけば、女性の半分はネイルサロンに通う時代になっていると思います。そんな世界を実現したい。ネイルをもっと一般の人に楽しんでもらうこと、それが私たちの使命です。

コンヴァノ取締役である横山さんは、元ネイリスト。壷井さんは「意思決定には、この世界での経験を参考にしたいときもある。だが自分はネイリスト出身ではないので、彼は完全にコンヴァノのブレーン(頭脳)です」と語る。

一方、横山さんの壷井さんに対する印象は?「僕はどうしても攻め一辺倒になりがちですが、守りも知っている人。マクドナルドで培った幅広い視野と人生経験、懐の深さで、いつも的確な判断をしてくれる。」

異業種の知見を、この業界へ。自社だけではなく、ネイル業界、そして未来のネイル市場にも熱い想いを馳せ、日々奮闘している。

「壷井さんは、従業員のみんなには“大阪のおっちゃん”的に親しまれていますね」と横山さん

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