イノベーターが
見ている未来
vol.81
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
ALBUM
オーナー 槙野 光昭さん (age.48)
“トレンドヘアーを毎月通える価格で提供”をコンセプトに、2014年の創業以来、急成長を遂げているヘアサロン「ALBUM(アルバム)」。現在12店舗展開する同社が、ついにシェアサロンに参入。そのウラにある戦略とは?
・ALBUM→https://www.album-hair.com/
・DX SHARE SALON→https://dx-share-salon.com/
第1章シェアサロン出店のワケ
「僕はシェアサロン否定派だったのに
時代は巡りますね(笑)」
東京・原宿に「DX SHARE SALON HARAJUKU 原宿」をオープンされたことが話題です。その経緯を教えてください。
「ALBUM」を創業したのは、2014年。当初は、いろんなところで「業務委託だから教育をしていない」と言われたんですね。そんなことはなかったのですが、「それなら、こっちもトコトン教育してやる!」と、正社員と業務委託のハイブリッドにして、新卒向けに自社アカデミーもつくりました。
今では、専用設備を設置し、1年デビューを実現させるために、有給で、週3日、1日中専用施設で教育する仕組みを整え、どこにも負けない教育投資をしていると自負しています。
・ALBUM ACADEMY→https://www.album-hair.com/academy
でも、お金をかけて教育したスタッフが「さぁ、ここから」というタイミングで辞めて、シェアサロンに流れていく現状もあり・・・。「美容師のためにバック率を高く」というウリ文句のサロンを見ると、「教育してから言え!」って。あれ、これ、どっかで聞いたことあるセリフだな?・・・あ、昔、自分が言われていたことだ(笑)。時代は巡りますねぇ。
なるほど(笑)。槙野さんは、シェアサロン反対派でしたよね?
「シェアサロンてどうなの?」という思いも、以前は正直ありました。シェアサロンで働いている人たちに問いたい。君たちは、どこで教育されたんだい?アシスタントを1人以上育てたのかい?それをやっていなければ、今までお世話になったサロンに対して、身勝手すぎないかい?それは、SDGs的にもどうなんだい?業界が持続可能かい?と。・・・でも、そんなことを言っていてもビジネスでは負け犬の遠吠え、このビジネスモデルをやらなかったら、負けてしまう。時代に合わせて自分も変わらなければ!と、シェアサロンへの参入を決めました。
他に流れてしまうくらいなら、自分たちでつくったほうがいい。「ALBUM」にとって、シェアサロンは“屋根”のようなもの。人材流出を防ぐ位置付けでもあります。
「DX SHARE SALON」の還元率は85%と、かなり高いです。
シェアサロンでは、差別化の要素がそれほどなく「報酬条件」が最大のポイントになりますよね。「じゃあ思いっきり高めてやる、戦だー!」という感じで、公認会計士であり、会計のスペシャリストの安田と、競合の条件も踏まえ徹底的に数字をシミュレーションし、うちではA~Cの3プランを用意しました。
それぞれ「月額固定費」と「還元率」が異なりますが、他と比較しても“稼ぎやすい設定”で、「シェアサロンではウチが一番オトクです♡」と胸を張って言えるようにしました。
ちなみに、シェアサロンの名前にある「DX」というのは?
「DX」には、“テクノロジーの進化とともに美容師の生活を豊かにしていく”という決意を込めました。材料の発注やCRM管理はすべてシステム化されているので、生産性の向上につながります。我々は、美容室公式アカウントとしてInstagramのフォロワー数が約48万人。これまでのマーケティングデータを活用して、今後さらなる独自戦略で業界のDX化を推進していきたいですね。
シェアサロン以外にも、「ALBUM」の統括ディレクターを務めていたNOBUさんが、昨年末に「NNN(スリーエヌ)」をオープンされましたね。
NOBUもまた、社内独立という形で、後輩たちにキャリアパスを示してくれたと思います。正社員、業務委託、フリーランス、社内独立…「ALBUMには働き方のバリエーションが、なんでもあるよ!」と言えます。また、近いうちにFC展開も開始する予定です。
人間関係で揉めない限り、全部うちで美容師の夢が叶う。「ゆりかごから墓場まで」・・・そこに今、チャレンジしているところです。
ALBUM発・シェアサロン始動!
還元率85%、その勝算やいかに。