Special Interview
美容業界が描く「女性活躍」のカタチ
株式会社ユニックス
代表取締役社長 水島祥暢さん
カーディーラーの営業職を経て、1998年に株式会社ユニックスへ入社。アシスタントからスタートし、スタイリストに。現場に立ちながらマーケティング、開発、営業、上場準備、内部監査などの多くの業務を経験。2018年、代表取締役社長に就任。
女性活躍支援の取り組み
- 産休・育休制度の定着(男性も取得実績あり)
- 結婚したら利用できる時短制度を導入
- 隔週で業務時間内に技術研修を実施
- 月1回、全スタッフ対象に労務勉強会を実施
- 時短のママスタッフも役職を持ち、現場で活躍
- 多様な働き方ができるパートナー制度を導入
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結婚したら利用できる時短制度を導入
結婚後は、子供がいなくてもライフスタイルが変わるスタッフも多いが、そんな変化に対応するためにこの制度を導入。これまで10名程度が利用している。
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月1回、全スタッフ対象に労務勉強会を実施
朝礼前に30分ほど、人事部がオンラインでミーティングを開催。産休や育休についての知識から、残業時間のルールまで、細やかに法律と会社の制度について説明をしている。
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Q
初めて男性スタッフが育休を取得する際、周囲のスタッフの反応はいかがでしたか?
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A
いたって自然なこととして受け止めていました。
日頃から、法令順守と多様性の大切さを伝えてきました。
労務勉強会での知識インプットに加えて、スタッフの多様性(ダイバーシティ)を大切にしていることを伝えています。人手が足りないと感じる場面があるのも確かですが、そういった会社の都合をスタッフに押し付けても仕方がありません。会社はスタッフの生きがいをつくる場所だと思っています。同時に、スタッフ自身も自分の人生に責任をもって選択し、生きていってもらわないとならない。そのために会社として多くの選択肢を提供し、長く働ける環境を用意したいと考えています。
子供がいるスタッフが増えたことで、さらに働きやすい環境に。
たしかに、産休や育休の取得者が出始めた頃は、周囲のスタッフから「あの人はよく休むから困る」といった不満の声が出ることもありました。でも、育児をしていれば子供が急に熱を出すなんて当たり前のこと。子供が小さい頃だけを見ると働き方が不安定に見えるかもしれませんが、数年先には子供も育ち、自然と安定してきます。そういったことを伝え続けることが大切だと感じています。また、長く働ける環境が整うと、自然と子供がいるスタッフが増えてきます。経験者が増えることで、より理解しやすい風土が育ってきたように思います。男性スタッフが育休を取得する際もいたって自然に申し出て、周囲も当たり前のこととして受け止めていたのは、そういった風土のせいかもしれません。
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Q
育児中のスタッフの活躍の場は、どのようにつくっていますか?
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A
店舗運営と技術、それぞれに役職を作り、男女バランスよく配置しています。
時短勤務でも役職に就き、活躍できる場を提供。
育児中で時短勤務の女性スタッフにも、能力に応じて役職に就いてもらっています。UNIXららぽーと豊洲店にも2名の時短ママスタッフが在籍していますが、ふたりとも非常に技術力が高い。中でも宮本(宮本和佳さん)は2度の育休を経ていますが、現在はクリエイティブマネージャーという役職に就き、第一線で活躍してくれています。若いスタッフも彼女たちの背中を見て「いずれ自分も結婚や出産をしたら、こうやって働いていける」と安心でき、将来像を描くことができるのは、サロンにとって非常に価値があることです。
店長職の女性比率を15%から50%へ。
各店舗には、技術と店舗運営の両方を担う店長か、店舗運営に特化したストアマネージャーどちらかを配置しています。その2つを合せた店長職(店長またはストアマネージャー)が全部で20名いるのですが、これまで女性は3名しかいませんでした。先日、7名の女性を新たに任用し、全部で10名の女性が店長またはストアマネージャーとして活躍してくれています。ストアマネージャーは、主に受付業務などを行うレセプショニストのキャリアプランのひとつ。技術ができなくても権限と責任をもち、サロン全体を見て売上やスタッフの働きやすさをマネジメントしています。男性をとくに優遇しなければ、自然と優秀な女性リーダーが育ってくると感じています。
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Q
さまざまな制度や環境を整えて来られましたが、次に目指すことは?
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A
さらに多くの選択肢や、活躍の場をつくりたいと考えています。
新たに業務委託スタッフとして働けるパートナー制度を導入。
従業員として働きやすい環境を整えても、その枠を超えて「もっと働いて独立資金を貯めたい」「もっとゆったりマイペースに働きたい」といった希望が出てくることがあります。でも雇用関係にある限り法律や会社の制度に縛られるため、これまでは選択肢がありませんでした。何とかしたいと思い、UNIXの中で業務委託スタッフとして働けるパートナー制度をつくりました。これなら、たとえば「繁忙期は休みなく働いてバリバリ稼ぎたい」「稼げなくて良いから、自分の好きなときに美容の仕事を楽しみたい」そんな希望も叶います。2020年にテスト導入し、現在は7名がこの制度を利用しており、うち4名は女性です。今後は社内独立やFC制度など、さらに選択肢を用意していきたいと考えています。
女性にも、会社のリーダーとして活躍してほしい。
店舗のリーダーである店長職の女性は増えましたが、会社のリーダーであるGM(ゼネラルマネージャー)はまだ男性しかいません。優秀な女性はいるのですから、女性がGMになっても良いはず。それには安定して働ける環境だけでは不充分で、本人がやりがいを感じて働けるよう、会社としてサポートしていきたいと考えています。
「カーディーラーの営業をしていた時、当時社長だった父のもとに、よくUNIXの社員が飲みに来ては熱心に仕事の話をしていたんです。自分とは仕事に対する熱意が違う、と感じました。もちろん自分だってそれなりに業績を上げていたし、車が好きで仕事をしていたのですが、彼らを見て“自分は今のままで良いのか?”と感じて。だからゼロから始めるつもりで美容師資格を取り、アシスタントからスタートしたんです」
そう語る水島さんの目が輝いていて、思わず引き込まれてしまいました。きっと今では多くの社員の方が、水島さんの熱意に影響を受けているのでしょうね。
Company Data
男女ともに長く働ける会社とは?