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イノベーターが
見ている未来

vol.96

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

ミス・パリ・グループ

代表 下村 朱美さん (age.66)

老舗に甘んじることなく挑み続ける。
根底にあるのは、“教育こそすべて”。

2022年で、創業40周年を迎えたミス・パリ・グループ。「エステティック ミス・パリ」をはじめとしたエステティックサロンのほか、スパ・美容室などを国内外に111店舗展開(2023年7月6日時点)。日本初となるメンズ専門エステティックサロン「男のエステ ダンディハウス」の業績も右肩上がり。さらには、2023年に開学した「ビューティ&ウェルネス専門職大学」も話題。そこには、下村さんの「教育」という強い信念があった。

下村 朱美さん/1957年、鹿児島県生まれ。池坊短期大学家政学科卒業。1982年に大阪・難波にエステティックサロン「シェイプアップハウス」(現:エステティック ミス・パリ)を立ち上げる。現在は「ミス・パリ・グループ」代表のほか、美容総合商社・エステティックサロンの経営指導などを行う「株式会社ミス・パリ」代表取締役、「学校法人ミスパリ学園」の理事長などを務める。2022年にはビジネス誌『財界』が選ぶ、日本経済を牽引した有力財界人を表彰する「経営者賞」を受賞。

・HP(ミス・パリ・グループ)
https://www.miss-paris-group.co.jp/

 

第1章エステティックサロンで感じた課題

「“坪”の意味もわからなかった。
でも、理論に基づくサービスを提供できるサロンをつくる!」

「エステティック ミス・パリ」は、現在38店舗展開(写真は「新宿本店」)

昨年の2022年で40周年とのこと、おめでとうございます!40年を振り返ってみて、いかがですか?

もう本当に、あっという間ですね。最初はチラシ配りから、できることは何でもしました。よく働いた40年だったなぁ(笑)。常に感謝するのは、いまもそばにいて、一緒にがんばってくれる社員たちですね。

長く働いてくださっている方が、多いのですね。
下村さんが、エステティックサロンを経営されたきっかけを、教えてください。

短大卒業後、カリフォルニア大学に短期留学をして、帰国後は美容室向けの化粧品販売の仕事をしていました。あるエステティックサロンに行ったときのこと。セラピストたちは、気持ちのやさしい、一生懸命な子たちでした。でも、施術や商品について「なぜ、これが私にいいのか?」ということを理論的に説明できていなかった。それは、“教育”を受けていないから。「じゃあ、きちんと教育を受けたプロが働くサロンをつくってあげよう!」と。

まず、不動産屋に飛び込んで「エステティックサロンをやりたい」と言いました。「何坪くらいですか?」と聞かれて、「“坪”って何だろう?」って(笑)。なんとか物件は借りられましたが、600万円ほどあった預金はスッカラカンに。ラッキーだったのは、化粧品販売の会社をやっていましたので、銀行が手形を作ってくれていたこと。50万円の手形を25枚程切りました。

シャンデリアは、友だち何人かがお金を出し合ってプレゼントしてくれました。内装をお願いした大工さんは「化粧品ケースがないのはおかしいよ」と、ご厚意で揃えてくれて。家具屋さんで、イスやテーブルを見ながら「休憩室にこんなのも欲しいなぁ」と考えていたら、「持っていっていいよ!」と、無償でくださったんです。

奇跡の連続ですね(笑)。まわりの方が助けてくださるのは、下村さんのお人柄でしょう。

本当に感謝の気持ちで、いっぱいです。その方たちとは、ずっとお付き合いが続きましたね。大阪にいる間は、お店をオープンする度に、その方々から購入したり、お仕事を依頼していました。

そこから、順調に店舗を増やされていったのですね。

私は大学で経営学を勉強したこともありませんが、大事なことは、すべてお客さまが教えてくださいました。サロンの出店も、そうです。お客さまから「うちの近くにつくって」と言われる度に、それに応えていたら、気づけば増えていました。

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