サロンで始める
訪問美容~実施マニュアル編~
vol.6
アドバイザー:
ふくりび 岩岡さん
まだまだ知らない人も多い「訪問美容」。
施術を利用されるお客さまに、積極的に宣伝を!
「訪問美容」スタートまでの6ステップ
1
施設やケアマネジャー事業所へは、
チラシを配布して、自サロンの存在をアピールしましょう。
訪問美容を行うサロンであることを、訪問エリア内のお客さまに宣伝する効果的な方法、まず一つめは「チラシの配布」。チラシは介護施設への営業活動の際の必須アイテムにもなるため、必ず作成しましょう。チラシに必ず掲載すべき内容は下記の4点。
①施術メニューと価格(施術価格・出張価格) ②電話番号(大きく掲載)
③訪問可能な曜日と時間帯 ④コンセプトや実績
介護施設や病院、福祉センターなどで設置してもらいやすいのは、A4の三つ折りサイズ。裏面が申し込み用紙になったA4のチラシも、個人宅のお客さまや施設スタッフが利用する際に便利なため喜んでいただけます。
配布方法は、介護施設や病院の場合、直接足を運んでお渡しするのがおすすめ。担当者の方などに、設置や介護されるご家族への説明用として利用していただきたいことを伝えましょう。個人宅のお客さまを多数ケアするケアマネジャー事業所には郵送を。「居宅介護支援事業所 訪問エリア名」でネット検索して、連絡先と住所を確認。事前に電話で送付のご連絡をしてからチラシを送ります。また、福祉センターなどで開催される介護関係者の会議や催しなどを調べて参加し、出席者の方に配布するのもひとつの方法です。
【よくある質問】
お客さまに好印象を与える、効果的なチラシの作り方は?
文字は全体的に大きく、はっきりとした色を使うといいでしょう。また、ご家族や施設スタッフからの依頼が多いので、「安心感」がキーワード。フルカラーがおすすめですが、華美なものより、シンプルで上品なデザインが好まれます。施術シーンなどの写真は好印象につながるため、できるだけ掲載しましょう。
2
介護されるご家族の方々は、スマホも使いこなせる人が多数。
ウェブサイトやSNSで、信頼度や知名度を高めましょう。
情報を公開することで、知名度のアップを図れたり、信頼できるサロンであることをアピールできるウェブサイト。特に新設の介護施設の場合、インターネットを使って訪問美容を行うサロンや事業者を探すことも多いため、よいアピールになります。予算が厳しければ、初めは無料サイトやブログなどでも代用可能。ぜひ作成を検討しましょう。
また、介護されるご家族の中にはスマホを使いこなせる方も多く、ブログやSNSは強力な宣伝・広報手段となってきています。活動している様子を随時アップしたり、訪問美容を始めた想いやご利用者の感想などを、大勢の人に向けて無料で発信することが可能。また、更新数と依頼数は比例していて、1年間継続すると結果が出るツールとも言われています。ブログやSNSの記事がメディア取材のきっかけになることも多いので、ぜひ始めましょう。なお、週に2回程度を目安に、こまめに更新することがおすすめです。
【よくある質問】
チラシやウェブサイト、ブログを作成するときの注意点は?
作成時の注意点は以下の通りですが、一番注意すべきは「個人情報の扱い」。訪問美容の写真や活動をチラシなどでご紹介する際は、お客さまや施設スタッフの名前、介護度や病名など、個人情報が流出しないように気をつけましょう。また、「指名での依頼ができないよう、スタッフの名前と顔が結びつく投稿は避けています」と岩岡さん。自サロンのスタッフの写真や名前の掲載についても、安全確保の面で配慮が必要です。
●写真を撮影するときは、「撮影してよいか」を必ず確認する。
●チラシやブログなどに写真を使用するときは、使用許可を必ず、お客さま本人とご家族・施設スタッフから得る。断られたら絶対使用しない。
●お客さまの氏名・住所・介護度・病状などが外部に漏れることがないよう、個人情報の管理を徹底する。
●施設の情報が流出することがないよう、情報管理を徹底する。
●ウソや誇大広告は書かない。
3
サロンのお客さまは、大切な協力者。
お店にPOPを飾り、始めたことを全員に告知しましょう。
サロンのお客さまは、技術やスタッフの接客などに満足されている「サロンのファン」といえます。そのため、サロンが訪問美容を始めたことを知れば、ご自身のご家族への利用を検討してくださったり、友人・知人へ宣伝してくださる可能性も。また、お客さまの中に看護師や介護関係者がいらっしゃる場合、施設の情報を教えてくれるなど協力者になってくれるはずです。お店にPOPやチラシを置いて、訪問美容を始めたことをサロンのお客さま全員にアピールしましょう。
営業活動をしよう①/やることチェックリスト
- チラシ(A4三つ折り/裏面が申し込み用紙になったものなど)を作成する。
- 訪問エリア内のケアマネジャー事業所に、事前に電話を入れたうえでチラシを郵送する。
- 介護施設や病院、福祉センターに足を運び、チラシの設置をお願いする。
- サロンの訪問美容サービスを紹介するウェブサイトを作成する。
- サロンの訪問美容活動を週に2回程度、ブログやSNSを使って発信する。
- サロンにPOPやチラシを置き、サロンのお客さま全員に訪問美容サービスを宣伝する。
安心感を与えるチラシを作成。ウェブやブログのアドレスは名刺に記載を!
サロンで待っていても獲得できないのが、訪問美容のお客さま。安心感や信頼感を与えるデザイン・表現にこだわったチラシやウェブサイトを作成して、積極的に宣伝活動を行いましょう。なお、ウェブサイトやブログ、訪問美容用のメールを開設した際は、名刺にそれぞれのアドレスを記載することをお忘れなく!
次号は、営業&契約成功のカギを握る、「営業活動の準備」についてご紹介します!
監修NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)
理事長 赤木勝幸さん
「誰もがその人らしく美しく過ごせる社会の実現」を目指し、全国の「訪問理美容サービス」の質の向上、理美容師の育成や高齢者・介護者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上などに尽力する同協会を2007年に設立、理事長に就任。2008年社会貢献支援財団社会貢献賞受賞。著書に、「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK(女性モード社)」など。
事務局長 岩岡ひとみさん
同協会の事務局長。ヘルパー2級取得、美容師国家資格取得。2009年内閣府青年社会活動コアリーダー育成プログラム英国派遣団員。2010年東アジア地域国際シンポジウム招聘者。2012年内閣府女性のチャレンジ賞受賞。2013年シアトルiLeap SIFJ招聘者、第27回人間力大賞厚生労働大臣奨励賞受賞。2012年より愛知学院大学経営学部非常勤講師。
ふくりび http://www.fukuribi.jp/
参考文献
「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK」
NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)編著/女性モード社