サロンで始める
訪問美容~実施マニュアル編~
vol.7
【経営・マネジメント編/営業活動の準備】
営業活動をしよう②
サロンが訪問美容を始めたことを、お客さまご本人や施設スタッフ、介護されるご家族の方々に知っていただくためには、vol.6でご紹介した宣伝とともに、営業活動を行うことが大切です。今回は、営業をスムーズに行うための「準備」についてレクチャーします。
アドバイザー:
ふくりび 岩岡さん
営業で重要視されるのは「信頼できるかどうか」。
準備をしっかり行い、服装にも気を配りましょう。
「訪問美容」スタートまでの6ステップ
1
訪問エリア内の施設情報を集め、
「営業マップ」を作成しましょう。
営業活動をスムーズに進めるために、まずは営業先をリストアップ。vol.4で決めた訪問エリア内にある介護施設の情報を集めます。情報収集の際は、厚生労働省が運営する介護サービス情報公表システムの活用がおすすめ。エリアで検索でき、施設名と地図が一覧化されていて便利です。集めた施設の情報は、施設名・施設の形態(高齢者専用賃貸住宅、特別養護老人ホームなど)・住所・電話番号などをまとめて一覧化。また、施設を地図に書き込んだ「営業マップ」を作成しておくと、営業活動を行うときに便利です。
個人宅のお客様を多数ケアするケアマネジャー事業所も、大切な営業先のひとつ。「居宅介護支援事業所 訪問エリア名」でネット検索して情報を収集。施設同様、一覧化して「営業マップ」に書き込んでおきましょう。
2
名刺や無料イベントの案内状など、
営業活動のための資料を準備しましょう。
営業先で、vol.5で決めたメニューや付加価値などをわかりやすくアピールできるよう、資料を準備しておきましょう。下記のようなものを用意しておくと便利です。
・チラシ(パンフレット)/コンセプトやメニューなどを案内する際に活用
・無料イベントの提案書(案内状)/無料シャンプー講習会など、自サロンの付加価値をアピール
・割引クーポン/初回お試しカット無料券など
・ニュースレターやフリーペーパー/訪問美容の活動レポートなどの読み物。手書きでもOK
・名刺/vol.6で用意したウェブサイトなどのアドレスを記載しておく
・営業報告書の見本/「施術内容を毎回きちんと報告します」と伝えるための見本
チラシ(パンフレット)は、営業先(介護施設・ケアマネジャー事業所)に合わせて介護施設用・個人宅用の2種類を用意しましょう(チラシの作成方法はvol.6を参照)。
3
営業のための服装を準備し、
好印象を与えられるよう、身だしなみも整えましょう。
サロンではおしゃれに見える服装やヘアスタイルも、訪問美容の営業の場では「派手」「カジュアル」などの印象を与えてしまいがち。場所や場面によって服装が与える影響が異なることを理解し、介護施設やケアマネジャー事業所などを訪問する際は、「自分が相手にどう見られるか」を意識。営業先の担当者に信頼していただくために、身だしなみを整えて営業活動に励みましょう。
【よくある質問】
営業時の必須アイテムは?
営業のために準備したいアイテムは下記のとおり。派手な色や柄のものは避け、シックな色合いやシンプルな形のものを用意しましょう。
・名刺入れ(ブランドのロゴや柄が大きく入っていない、黒・茶色などのシンプルなもの)
・手帳(スケジュールがわかるもの)
・筆記用具(ボールペンのほか、蛍光マーカーや赤ペン、クリップなどがあると便利)
・営業用の資料一式(訪問美容のチラシや無料イベントの提案書など)
・地図、タブレットなど(営業先までの道順が確認できるもの)
・一筆箋(いっぴつせん)※短い文章を書き送るための小さな便箋。担当者に会えないとき、ひと言添えて資料とともに渡します
・腕時計(携帯で済ませず身につける。ブランドのロゴが大きく表示されていないもの)
営業活動をしよう②/やることチェックリスト
- 訪問エリア内の介護施設やケアマネジャー事業所の情報を集めて一覧にする。
- 介護施設・ケアマネジャー事業所の位置を地図に書き込み、営業マップを作成する。
- 営業活動のときに使う資料(チラシや営業報告書の見本など)を準備する。
- 営業用の服装を用意する。
- 営業時の必須アイテムを準備する。
ニーズに合った提案をするために、介護の知識も深めておきましょう。
相手に信頼していただくことが重要な営業活動。事前の準備をしっかり整え、営業時は身だしなみにも気を配りましょう。また、自サロンの訪問美容サービスを利用してもらうためには、各介護施設や各個人宅のニーズに合わせた提案をすることも重要。介護・医療の現状や法律などの理解を深めておくことも大切です。
次号は、「営業方法」についてご紹介。交渉時のポイントをレクチャーします!
監修NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)
理事長 赤木勝幸さん
「誰もがその人らしく美しく過ごせる社会の実現」を目指し、全国の「訪問理美容サービス」の質の向上、理美容師の育成や高齢者・介護者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上などに尽力する同協会を2007年に設立、理事長に就任。2008年社会貢献支援財団社会貢献賞受賞。著書に、「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK(女性モード社)」など。
事務局長 岩岡ひとみさん
同協会の事務局長。ヘルパー2級取得、美容師国家資格取得。2009年内閣府青年社会活動コアリーダー育成プログラム英国派遣団員。2010年東アジア地域国際シンポジウム招聘者。2012年内閣府女性のチャレンジ賞受賞。2013年シアトルiLeap SIFJ招聘者、第27回人間力大賞厚生労働大臣奨励賞受賞。2012年より愛知学院大学経営学部非常勤講師。
ふくりび http://www.fukuribi.jp/
参考文献
「技術からマネジメントまで 訪問理美容スタートBOOK」
NPO法人 全国福祉理美容師養成協会(ふくりび)編著/女性モード社