第3章DaBの根幹とは
「世代を超えて、複合的な組織に。
そう考えると、おもしろい時代!」
長く美容業界を見てきて、思うことはありますか?
八木岡●歴史的に見ると、18世紀後半にイギリスで起こった第一次産業革命に始まって、第二次産業革命では重工業を中心に発展し、ヘアカラー剤やパーマ剤が生まれた。第四次産業革命で起きたパソコンやケータイの進化の中で育った人たちが、いま業界で活躍し、集客やSNSの使い方といった「仕組み」が変化している。
ただ、ヘアデザイナーとしてのスキルやセンスを身につける大切さは、変わらない。変わることと、変わらないものがあることを、認識すべきだと思います。歴史を学ぶことは、未来を考えることにもつながると、若い世代の人たちに伝えたいですね。
なるほど、勉強になります。
DaBは現在4店舗ですが、今後の広がりは?
小野●(2024年)10月中旬に、代官山に5店舗目のサロンをオープン予定です。代官山にこだわっていたわけではないのですが、たまたまこの「DaB MIX」の近くに、いい物件が出たこともあって。
八木岡●店舗展開は、人ありき。まず、人が育つベースがきちんとあって、組織も幹部も大きくなっていく。
規模が大きければいいとは思っていませんが、一人辞めてしまうことでシリアスにならないためには、ある程度のスケールも必要。若い人が上にいけるように、幹部が育つ環境をつくっていきたいですね。
小野●DaBというブランドを今後どう展開していくか、僕らに残された時間は限られています。八木岡はいま65歳なので、10年後は75歳。いつまでも八木岡に頼るわけにはいかないので、この5~6年で次の代表者をつくり、組織を切り替えていく必要があります。
先ほど八木岡が言ったように、DaBではスターが育っていると自負しています。美容師としての売れっ子、SNSで結果を出していたり、経営管理の素質があるスタッフなど、いろんな分野でスターがいる。根底にあるクリエイティビティは同じでありながら、世代を超えて、複合的な要素が強まった「組織」になっていますね。
八木岡●DaBの根幹が崩れていなければ、どんな形でも許容します。どれが正しいっていうわけではないし。そう考えると、いまはおもしろい時代だよね!
最後に、お互いをどう思っているかを聞いてみた。
小野さん『美容師としての神様は、八木岡だと思っています。技術、人間力、すべてにおいて。うん、もう神様としか言いようがないんですよ!』
八木岡さん『誠実で信頼がおけるパートナー。一緒にやれてよかったと、心から思っています。常識人だから、僕より小野の判断を優先すべきだ、と思ったことも多々ある』
お二人に共通しているのは、「変化を許容する」スタンス。時代や世代で一括りにはできない、人と人との関係性が強固。それが、DaBの核心だろう。