学ぶ。つながる。発信する。美容の未来を創る場所。
女性が活躍するサロン
結婚・出産を経ても女性スタッフが長く活躍している、さまざまなサロンの取り組みや職場づくりを紹介していきます。
Frames/フレイムス
埼玉県川口市
埼玉県内を中心に、「Frames(フレイムス)」「Lilou(リル)」をはじめとする6つの異なるブランド、全17店舗を展開する「フレイムスグループ」。気取らずに手軽にキレイを実現するサロンとして、特に地元の子育てママから支持を得ています。グループ全体150名のうち、6割が女性スタッフで、常に3~4人は産休中。人材確保が難しいとされる今、女性スタッフが年々増え続けているその秘密は何か、オーナーの舟津さんに伺いました。
1取り組み
産休・育休制度、出産一時金制度などの福利厚生は大前提として、産休・育休後の働き方については個人の希望に基づき、正社員かパート勤務か選択を任せている。パートでも「1カ月120時間以上働き、今まで通り社会保険を継続したい」人もいれば、「育児に専念するため、週1回土曜日だけの勤務を希望する」人もいる。「10年先も、その先も、美容を続けたいと思う人に、できる範囲で働ける環境を創る」をモットーに、本人の希望に寄り添い、無理なく働ける仕組みを作って対応している。
「大手企業のようなしっかりとした福利厚生と、個人店ならではの何でも相談しやすい環境。この両方が機能することが大事です。それにより、出産後も長く勤めることができる会社だと思ってもらいたい」とオーナーの舟津さん。「個人がもっている力や、ペース配分がそれぞれ異なる中で、”ここには、誰もが無理のないように働ける受け皿がある”ということを知ってもらいたい」と語る。保障が整っていることで、女性スタッフが人生設計しやすくなり、産休が明けて戻ってくるママスタッフが増えた。
2取り組み
会社設立から4年目、アシスタントの女性が妊娠したことをきっかけに、「どんな時もスタッフを大事にする」という意識を持つようになった。店舗をまわる時や、数人で食事をする時など、事あるごとに「女性、男性関係なく、妊婦さんでも、ママでも、アシスタントでもパートさんでも同じ」と、オーナー自ら必ずそう語ってきた。その思いが、徐々に浸透していき、今では10年来一緒に行動してきた店長たちが、その考えを自然にスタッフに伝えるようになっているという。
会社設立から4年ほど経った頃に、初のママスタッフとなった中館さん。現在週5~6日、10:00~17:00のパート勤務をしながら、ふたりの子どもを育てている
当初は時短で働くスタッフに対し不満を持っている者もいたという。「ただ、大多数のスタッフが協力体制でいたので、少数派は徐々に減っていきました」とオーナーの舟津さん。逆にスタッフの間に、「妊娠中も休まず働くスタッフや、ママになって復帰したスタッフを皆で守ってあげたい」という空気が流れ始めると、一気に社員同士の結束が強くなっていった。
「同じように、ママスタッフ本人も、他のスタッフに迷惑をかけないようにと気をまわし、一生懸命に動くようになりました」と舟津さん。相乗効果でサロンの雰囲気も良くなり、若手スタッフも「将来自分が妊娠しても大丈夫。だからがんばろう」と思うように。それが会社全体のメリットにつながっている。
舟津さんが17店舗をくまなくまわり、食事に行くなどして、一人ひとりとコミュニケーションを取るように心がけている
家族で参加OKのBBQ大会を年に1度実施。お互いの家族と知り合うことで、何かあった時のサポート態勢も強化されている
3取り組み
スタッフが働く環境をより良くしていくための取り組みとして、昨年はグループ全店舗をまかなう、タオル洗い専用ランドリーを設置。どうしてもパートやアシスタントなどのスタッフに負担がかかっていた業務を切り離し、アウトソーシングすることで、業務効率をアップさせた。
今年はいよいよ保育室を開設する計画だ。現在、この東川口エリアだけでも、ママのスタッフが6名、産後に復帰する予定のスタッフが2名いるため、最低でも8名の子どもたちを世話できる環境が必要になる。
「スタッフが子どものことを心配せず、安心して自分の仕事に全力を尽くせるように、保育室の開設は急ぎたいですね」と舟津さん。
1年にひとつは、会社やスタッフのためになることを成し遂げる、と語るオーナーの舟津さん
「合理化して浮いた時間は、技術向上のために使って欲しい」と舟津さん。ランドリーの設置では、大量のタオル類を洗濯する時間が浮いた分、アシスタントがモデルを呼んでカットの練習をするなど、技術向上のために時間を充てることができるようになった。同じように、保育室を設けることで、ママスタッフたちも安心して仕事に集中できるようになる。新たな取り組みによってアシスタントもスタイリストも、自分のやるべきことに集中できることが最大の目的だ。
やりたいことを叶えるための受け皿があれば、女性たちは安心して輝いていけるし、他のスタッフの負担も軽減できる。それにより、会社もさらに成長できると考えている。
オーナーの舟津隆一さん
専門学校卒業後、小規模から大型店舗を11店渡り歩き、さまざまな環境の美容室の現状を自らの経験で学ぶ。28歳で独立し、西川口に「Frames(フレイムス)」をオープン。「社員の夢を叶えるための受け皿を作る」がコンセプト。現在、17店舗、約150人のスタッフを束ね、常に新しいことに挑戦し続けるオーナーでもある
A. 社員がやりたいことを叶えるための受け皿でありたい。
女性が出産しても働ける会社づくりは当然の流れでした。
実はこの会社を立ち上げる10年ほど前まで、僕は11社のサロンを辞めているんですよ(笑)。個人店から大型店、都内の有名店など合わせて11社。当時は社会保険に加入しているサロンなんて皆無に近く、キャリアを積んでもアルバイトのような扱い。妊娠や出産をした女性は、当然のように離職していきました。悔しい思いをして辞めた友人もいたし、僕はそれを「とてももったいない」と感じていました。僕が自らオーナーになったのは、やりたいことができずに転職を繰り返していた自らの経験があったからです。
だから、自分の会社では社員がやりたいと思うことをやらせてあげられる環境を作りたかった。「妊娠、出産しても働きたい」「キャリアをのばしたい」という女性に「大丈夫だよ。安心していいよ」という場を用意してあげたかったんです。
A. スタッフ同士の結束が強くなり 、新しい人材を呼び込むようになりました。
僕の信念は一貫して「スタッフを大切にする会社づくり」です。女性活躍への取り組みはその中のひとつであり、男女隔てなく平等に大切にしていきたい。ただ、「妊娠している●●さん、子育て中の▲▲さんを、みんなでフォローしながらやりましょう」という意識が自然に育っている今の環境を、みんなが心地いいと感じているのは確かですね。
それを裏付けるように、うちでは求人広告よりも、スタッフ自身が仲間を紹介してくれて、採用につながることが多いんです。最近では、”女性を大切にするサロン”ということがクチコミで評判になり、求人をしなくても女性からの問い合わせが増えています。人材を確保するのが厳しい中で、今年は女性22名、男性3名が入社しました。
求人の問い合わせが増えたりメディアに注目されることで、スタッフのモチベーションも上がる。これはとてもいい傾向だと思っています。
スタッフがイキイキと働く環境や楽しんで働く雰囲気は、お客さまにもきっと伝わる。お客さまの満足度を高めることにもつながっていくと思っています。
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