第3章世界を美しく変える
「美容というジャンルのなかで
救えるお客さまが増えたらいいな」
取材は、12月のある寒い日。温かい紅茶で迎えてくれ、途中「寒くないですか？」と、どこまでも気遣いにあふれる
セミナーなどを通して、黒木さんの技術が日本全国に広まりつつあります。海外セミナーも多くされていますが、今後の予定は？
ひき続き、海外は注力していきたいですね。来年（2025年）も、すでにアメリカやシンガポールなど、さまざまな国からご依頼いただいています。
国によって美容技術やマインドは異なります。ただ、海外の美容師さんは全般的に「10年後のお客さま」のことを、あまり考えていない傾向があるようには感じます。もっと考えがヘルシーに向くといいなと。
あと、日本の美容技術が特化していることを再認識しますね。日本人ほど、シャンプーやヘッドスパが上手い国ってないですよ。海外の方に、もっと日本の技術を知ってほしいし、逆に日本人も海外の技術を知るべきです。
現在3店舗ですが、店舗展開はどのようにお考えでしょうか。
少し前から、価格帯が安い美容室もつくりたいと考えるようになりました。カット＋カラー＋トリートメントで1万円以下。もちろん、CHARLES DESSINと使う商材がまったく同じというわけにはいきませんが、その価格帯でも、ケアメニューは絶対に含めたいですね。
CHARLES DESSINは、「アッパー層じゃないと行きづらい」と思われているところも…。たとえば、地方で困っているサロンさんをM＆Aするなどして、別のブランド名でやるとか。全国にケアの大切さを広めたいのもありますし、今とは価格帯が違う時、スタッフをどう育てるべきかという点にも興味があります。
黒木さん＝高単価、というイメージがあったので、意外でした。
「世界を美しく変える」を目標に掲げています。具体的には、どのような状態になることが理想ですか？
やっぱり僕は美容師なんで、世界中の美容師が、できることがもっと増えて、美容というジャンルのなかで救えるお客さまが増えたらいいなと思います。美容師としてのスキルが上がれば、お客さまをはじめ、多くの人の精神衛生を守ることにつながります。そのためにも、「いいプロダクツを正しく使っていくこと」を広げていかないと、健康や美容を守ることができない。
同時に、環境にやさしいものを使い、地球が長く存続できることも考えていかないといけません。目の黒いうちに変えなければと焦る一方で、自分ひとりでは無力だとも思う。だから、美容業界全体で取り組んでいけたらいいですね。
サロンワークにセミナー、商材開発とお忙しい日々かと思いますが、大変だと感じることは？
オープンしてから20年、暇でつらい時期も経験しているので、「忙しいって最高やな！」って。先ほど話した火事の時、「不測の事態が起きたら、明日急に働くことができなくなるかもしれない」という気づきもあった。だから毎日、めっちゃ楽しいですよ！
『美容のチカラは世界を変える』を信念に、各地の復興支援・児童養護施設へのチャリティーオークションも行う。「昔ボランティアカットをした施設の子が、そこから美容師を夢見て、美容学校に通っていると聞いた時は超うれしかった！」と語る黒木さん
聞けば、ご本人いわく極度のチリチリ毛で、中学1年生の時から数十年、ありとあらゆる美容室に行ったという。「うちでは無理です」と断られたことも。「髪がコンプレックスで写真はほとんど撮らなかったけど、1枚だけある。こんな感じだったの」と見せてくれた。今のきれいさからは想像できなかった。どれだけ悩んだかは、一瞬でわかる。
その方は半年前、CHARLES DESSINに出会い、一度で違いを実感。メンテナンスを含め、6カ月でなんと12回来店！
「安い金額ではないですよね？」と聞くと、「私にとっては、その価値があります。髪のせいで一歩も外に出たくなかったのが、今は毎日24時間うれしい！」と、うっすら涙を浮かべて話してくれた。
このお客さまの声が、すべてです。
