「バーバー」人気の理由

今「バーバー」が人気の理由

近頃増えている、従来の理容室とは違う新しいタイプの「バーバー」は、なぜ多くの男性ファンを生んでいるのでしょうか?
ターゲティングやコンセプト、強みなどについて探っていきます。

REDMAN(東京都目黒区)

男性ニーズをとことん追求。
高い再来率を誇るオンリーワンのバーバーとは?

ネオン管のロゴが目を引くアメリカンな外観。しかし代表の飯島篤史さんは「アメリカンなバーバーカルチャーは、まったく意識していない」と語ります。細部までこだわり抜いたインテリア、バリカンではなくハサミの技術の追求、男性限定・完全予約制というシステム。そのすべては、メンズオンリーサロンを10年営んできた飯島さんがはじき出した答えなのです。
こんなとき男性はどう思うか。男性はどんなことを求めるか。飯島さんのお話からは、度々そんなワードが飛び出します。経験に裏付けられた自信。綿密に練られた戦略。メンズオンリーサロンに必要な要素を、余さず教えていただきました。

2008年に、当時は珍しい男性専用サロンとして出発。常に男性の視点に立つ経営が評判に。

経験の中で感じた「男性専用サロン」の勝算。

代表の飯島篤史さんが修業先から独立し、椎名町に「Red」というメンズオンリーサロンを開いたのは2008年のこと。当時はメンズオンリーサロンはほとんどなく、むしろバーバーという言葉にある種の古臭さがつきまとった時代。独立にあたり周囲からも「男性専用は難しい」と言われる中での挑戦だった。しかし飯島さんは「男性は年齢を重ねて30代半ばくらいになると、女性が多い美容室に行くのにためらいを感じるようになる。一方で、近年の30代は『カッコイイ』ことを大切にする。ならば、自分が本当にカッコイイというものだけを集めたメンズサロンを作れば受けるのではないか」と考えた。それが第一歩を踏み出せた理由だった。

  • バーバーの象徴たるサインポールは「絶対につけたかった」という。特注で店名にちなんだ赤白をオーダーした

  • 「REDMAN」の名だが、店内はモノトーン。ただしトイレは壁一面を赤で統一し、遊び心とインパクトを表現している

1店舗目での経験を元に、2店舗目ではさらなる挑戦を。

30代半ばの男性をピンポイントでターゲットにした飯島さんの目論見は当たり、「Red」は30代半ばの男性の支持を集め、今年10周年を迎える。そこで蓄積された経験を活かし、ここ「REDMAN」の開店に至ったのだ。飯島さんは新規開店にあたり、自ら現地へ引っ越し、実際に住むことで地域性を深くリサーチ。そしてアパレル関係者なども多いという祐天寺の場所柄から、あえて入りづらい店構えにすることで、「Red」以上に感度の高いお客さまにターゲットを絞った。施術時間はより長くカットシェーブで80分ほど、料金はやや高めのカット5500円に設定。従来以上にお客さまの満足度を重視した。

  • 店内で使用されるカップは、陶芸を嗜む飯島さんの父が焼き上げたもの。ここにもシンプルなロゴが光る

  • 「ブリキとか、鉄とか、男性はなんとなく好きですよね」と飯島さん。この「なんとなく」の部分を追求し、男性心をくすぐるオブジェやインテリアを随所に配する

ハサミとクシでの刈り上げ、座り心地の良いチェア。洗練された空間に潜む、伝統の技や細やかな心配り。

プロとしての技術を追求することでお客さまの心を掴む。

飯島さん自身の「カッコイイ」を凝縮した店は現代的でスタイリッシュ。しかし、技術に関しては伝統的な“理容の技”を重視する。とくにこだわるのは、ハサミとクシによる刈り上げだ。「バリカンのフェードにも、もちろん良さはあります。しかしハサミとクシの方が断然インパクトはありますし、お客さまの骨格に合わせてフォルムを作ることもできます」。ただしこれは一朝一夕でできることではなく、訓練の積み重ねが必要な技術。この理容の技術を追求することで、お客さまの心を掴むのだ。

カッコイイだけではない、快適性や安全性を大切にした空間。

店内はカッコイイの要素を詰め込んだスタイリッシュな空間。しかしじっくり眺めてみるとそれだけではないことがわかる。「お客さまが1時間以上、じっと座っている場所ですから」と、快適さにこだわった椅子。あえて凹凸を残した床も、つまずきやすい入り口だけは滑らかにコンクリートを打ち直している。BGMはいろいろ試した結果、お客さまの反応が良かったビートルズを選択。お客さまの目線に立つからこその、細やかな心配りが随所に潜む。

  • 3名のスタッフの技術向上も大切。そのため、定期的な研修やアイデアの共有は欠かさない。その甲斐あって「REDMAN」の店長を任される高橋さんは、理容コンテストで優勝を果すほどの腕に

  • 鮮やかなハサミの技は、まさにプロフェッショナル。定期的にセミナーの壇上にも立つ飯島さんは、そこでもハサミとクシによる技術を、若い理容師たちに伝えるという

お客さまの本心からの悩みを聞き、それを解消するスタイルを提案。それが完全予約制の狙い。

デリケートな悩みも聞き出すプライベートな空間。

何事も常に「男性はどう思うか」という視点を大切にする飯島さん。完全予約制にしたのは、一人ひとりのお客さまに、まわりを気にせずゆったり過ごしてもらいたいという狙いがある。しかし、実はこのシステムには隠れたもうひとつのメリットも。「僕もそうですが、ターゲット層の30代半ばから後半は、薄毛に悩むお客さまが多い年代。そういう方はデリケートですから、理容師と二人だけの空間が必要」と考えた結果なのだという。カット面は2席あるが、利用するのは常に1席のみ。お客さまは誰にはばかることもなく、悩みを相談できるのだ。

  • シンプルな要望を伝えるお客さまとじっくりと話し合いながら提案するのがこちらのスタイル。お客さまひとり、理容師ひとりという空間が、円滑なカウンセリングに一役買っている

  • 近年は輸入物のアンティークチェアも人気だが、「長時間座るものだから」と、タカラベルモントの最新モデルを採用。ただし皮やステッチを特注し、世界でここだけの椅子を作り上げた

逆転の発想で生まれたオリジナルパーマで再来率90%を達成。

接客で重視するのは、何よりもまず提案。自分から悩みを言い出せないお客さまが多いため、理容師がそれを察して、提案という形で解消してあげるためだ。特に多いのが、前がうまく流れない、横が収まらない、ブローが面倒といった悩み。それらを解消するのが、ハイブリッドウェーブというオリジナルパーマ。スタイルの雰囲気を変えずに、流れ、収まり、立ち上がりといった悩みの部分だけを解消するこのパーマの採用から、新規再来率90%以上という驚異的な数字に繋がったのだという。

  • 提案の柱になるのは、自然な仕上がりになるオリジナルパーマ・ハイブリッドウェーブ。悩みを解決することを念頭に置くことで、このパーマを提案した方の7割ほどが注文するという

  • 整髪料も男性の視点に立った「使いやすさ」でセレクト。たとえばポンプタイプのワックスは、忙しい朝でも適量が取れ、軽いシャンプーでも流しやすく、持ち運びも便利、というメリットがある

代表インタビュー

飯島篤史さん。1978年生まれ。修業時代に、30代半ば以上の男性が行きやすいバーバーの必要性を感じ、2008年に当時としては珍しいメンズオンリーサロン「Red」を椎名町に開店。そこで培った経験を活かし、2016年に2店舗目となる「REDMAN」を立ち上げた

Q.スタッフの提案力を磨くための指導方法は?

A.まずは小さな成功を重ね、信頼を得ることを重視しています。

たとえば寒い日なら「いつもより襟足を少し残しましょうか?」でもいい。それで実際にやってみせてご満足いただければ、次の提案も受け入れてもらいやすくなります。そして徐々にお客さまの自分の髪への意識も変わってきます。お客さまがスタッフ自身とともに進化していくというイメージ。そういうイメージを大切にするように伝えています。

Q.小さなサロンでの集客の秘訣は?

A.新規の集客も大切ですが、満足度を高め、再来率を上げることを意識しています。

お客さまがヘアカタログを見て、スタイルを指定したとします。もちろん、その通りにすることはできます。しかし、お客さまに合わせて、「ここをこうしたらもっと収まりがよくなります」「こういうカラーリングをしたらこうなります」というプラスアルファの部分をご提案する。男性はそういった自分だけの、オーダーメイドのサービスにご満足いただける傾向があります。すると再来率が上がり、結果として集客のアップに繋がるんです。

Salon Data

REDMAN

住所
東京都目黒区祐天寺2-3-6
アクセス
祐天寺駅東口より徒歩3分
創業年
2016年
設備
セット面2席
スタッフ数
3名 ※全店舗

すべての連載記事一覧へ

連載記事カテゴリから探す