まなぶ君
今日は「サ高住(さこうじゅう)」に潜入だ!
でもその前に…「サ高住」って、そもそもどんなところなんだっけ?
でもその前に…「サ高住」って、そもそもどんなところなんだっけ?
サービス付き高齢者向け住宅とは?
通称:サ高住(さこうじゅう)。
高齢者向けの支援サービスを提供している賃貸住宅。
訪問美容は事業所で一括契約しているところと、居室ごとに契約しているところにわかれている。
今回お話を伺った人
事業所長:金子由美さん
サービス付き高齢者向け住宅 ココファン妙蓮寺
定員:90名
居室数:65室
事業拠点数:157拠点
居室数:65室
事業拠点数:157拠点
2020年オープンということもあって、新しくてキレイですね!
サービス付き高齢者向け「住宅」というからには、お部屋は一般のマンションと変わらないのですか?
自立の方に向けては、お風呂やミニキッチンを備えたお部屋があります。介護を必要とされる方に適したワンルームタイプのお部屋もありますので、心身状況や生活スタイルなどに合わせてお選びいただける状態です。
なるほど!お部屋の種類がふたつあるんですね。こちらには介護職員の方もいらっしゃるんですか?
はい、当住宅では介護職員が365日24時間常駐しています。
常にいらっしゃるんですね!介護職員の方たちが日々心がけていることはありますか?
大切にしているのは、信用信頼です。ご利用者さまやご家族、関係者など…すべての関係が、それなくしては成り立ちませんから。
もちろん挨拶・接遇は会社全体で取り組んでいますが、それは人として当然すべきこと。
相手の立場に立って、相手の気持ちになって考えること、目配り気配りなども心がけています。
ご利用者さまについて
それでは、ご利用者さまについて教えてください!
現在65部屋すべてが利用中で、約70名が入居されています。年齢は72歳~97歳と幅広く、80代の方が一番多いですね。
男女比は1:2。介護度は自立の方から要介護5までで、平均1.5。要介護2~3の方が多いです。寝たきりのかたも数名いらっしゃいます。
賃貸住宅という特性から、やはり比較的介護度が低い方が多いのですね。ということは、身だしなみに気を使っている方も多いんでしょうか?
はい。男性女性ともに、美意識が高い方が多いんです。男性でも毎月のようにヘアカラーを利用されていたり…中には細かく色を指定しているなんて方もいらっしゃいますね。月に1度の楽しみということもありますし「身だしなみのことで周囲に不快な思いをさせてはいけない」と考えていらっしゃる方も多いです。
訪問美容について
訪問美容で契約している業者さんは、一社のみですか?
はい。以前他の施設でおつきあいのあった業者さんに今もお願いしています。
そうなんですね!最初にその業者さんを選んだ理由は何だったのですか?
人柄がよかったのはもちろんですが、介護職員としっかりコミュニケーションを取ってくれていたためです。きっとご利用者さまとも同じようにコミュニケーションを取ってくださるだろうなと思いまして。
あと決め手になったのは「フットワークの軽さ」ですね。
フットワークの軽さですか!それならボクも自信があります。反復横跳びが得意なんです!
あ、そちらではなくて。
少し無理なことをお願いしたとき、他の業者さんだと断られることが多いのですが、今の方はこちらの希望に柔軟に寄り添ってくださるんです。
そういうことでしたか!
具体的にはどんな希望ですか?
例えばいつも美容師さん1名で来てくれていますが「利用人数が増えてしまったので、2名で来てほしい」と伝えると、断らずに対応してくれます。
また、当日いきなり「カットをしたくない」とご利用者さまが言い出したとしても、日にちを変えたり、美容師を変えたりして再挑戦してくれるんです。
ご利用者さまとのやりとりの中で、時にはムッとすることもあるでしょうが(笑)、いつでも丁寧に接してくれるという姿勢は、我々介護職員も見習いたいと思っています。
訪問美容のゲンバに潜入!
それでは訪問美容のゲンバにお邪魔します!
あ、訪問美容師さんがいるぞ。
こんにちは。ここで施術を行っているんですか?
こんにちは。はい、こちらでは個浴室でいつも施術をさせていただいています。
ただサ高住によっては、ご利用者さま一人ひとりと契約し、お部屋まで施術に伺う場合もあります。
なるほど、こちらでは共有スペースである個浴室で施術を行っているんですね。
…ちなみに、金子さんとは以前からおつきあいがあったそうですが、こちらでもスムーズに契約が取れたんですか?
(いきなりズバッと聞いてくるなぁ…)
いえ、こちらの事業所長が金子さんだということは、営業に伺って初めて知ったんです。
ほかの施設で職員の方と話をしているときに「新しいサ高住ができるよ」と情報を教えていただき、すぐに営業に伺いました。
他にも常に施設のオープン情報をネットで検索するなど、とにかく新しい施設の情報をすぐにキャッチして動けるようにしていたことが良かったのかなと感じています。
最初に契約をいただけた決め手は何だったのですか?
移動式シャンプー台の存在でした。
その時契約されていた他社さんは、バスタブに頭を入れて前かがみでシャンプーをしていて、女性は顔が濡れてしまう状態。
「それって女性はいやですよね」と指摘したことに共感していただいて、そこから「弊社でしたらこんなことができます」と伝えたことが決め手だったと感じています。
なるほど、ご利用者さまの不満を見つけて、そこに対して提案したことがきっかけだったんですね。
こちらのご利用者さまには、どんなニーズがあるんでしょうか?
特徴的なのは、男性のカラー利用率が約3割と高いこと。シルバーカラー(白髪ぼかし)を希望されるなど、こだわりも強いですね。
あとは女性のパーマも、かなり特徴的なオーダーがあります。
どのようなオーダーなのですか?
トップをふんわりさせるポイントパーマなどですね。
ご高齢の女性ですとしっかりめのパーマを希望される方が多いので、通常だとお直しのクレームになってしまうような施術ですが…。
そういったことも、これまでの生活や過去にされていたお仕事の話などを伺いながら、その方らしさを髪型で表現できるよう提案したりしています。
単純に髪型の希望を聞くのではなく、これまでのことをカウンセリングしたうえで提案しているんですね!
勉強になります!ありがとうございました。
最後に~訪問美容に期待すること~
それでは金子さん、最後にもう少しお話を聞かせてください。
介護職員の方にとって「訪問美容の価値」は何ですか?
ご利用者さまが、訪問美容で身だしなみを整えることによって自信が持てるということです。
身だしなみにかまわなくなることが、生活の意欲をなくすことにつながる方もいらっしゃるので、美容の力というのは大きいなと感じています。
また、介護職員としては月に1回「キレイになったね」と声掛けできて、ご利用者さまの笑顔が見られるということ自体が癒しになっています。我々の力だけではできないことですから、ありがたいですね。
それは本当にすてきなことですよね!
今後、訪問美容師に期待することはありますか?
もともとネイルをされている方が多いので、ネイルメニューも提供いただきたいと思っています。
あとは、ヘアだけでなく、ネイルや手のもみほぐしなどの癒されるメニューをイベント的にやっていただけたらステキですよね。
ただ介護職員としては、正直技術のことはあまり重視していないんです。
それより期待したいのは、美容師さんの人柄やコミュニケーション能力です。
なぜそう思われるんですか?
お年を召した方はある意味で「わがまま」な方が多いんです。
なので「この美容師さんいやだな」と感じたら、職員に対してハッキリそうおっしゃいます。
でも人として心が通いあえたら、絶対にリピートします。
だからこそ、訪問美容師さんにはご利用者さまと心を通わせていただけるようなコミュニケーションをお願いしたいと思っています。
美容師として技術はもちろん大切なのですが、それ以上に「ご利用者さまと心を通わせる」ことが期待されているということを、常に意識したいと思います。
今日はありがとうございました!
まとめ
- サービス付き高齢者向け住宅にはさまざまなご利用者さま方がいるが、全体的に介護度は低めなことが多い
- 介護職員の方は美容師の人柄や、コミュニケーション能力を重視している
- 単に希望する髪型を聞くだけでなく、これまでの生活や過去の仕事を聞いた上で髪型を提案することも大切