イノベーターが
見ている未来
vol.127
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。
株式会社スリー 代表取締役社長
寺村優太さん (age.36)
人気美容師として成果を出しながらも、自らサロンを構えるのではなく、美容業界の課題解決に挑む道を選んだ寺村さん。背景にあったのは、美容師が長く働くうえで避けて通れない“構造的な問題”への強い違和感だった。スリーは、VR教育の推進をはじめ、ライフステージの変化に左右されにくい働き方や、新たな収益機会の創出に取り組む。美容専門学校、学生、そしてサロンの在り方はどう変わるのか。寺村さんが描く、構造変革に迫る。
※寺村さん登壇のセミナー動画『採用改革 実践メソッド』
第1章売れる美容師になって見えた、業界のひずみ
「若くして売れるには、
無理をしなければならない構造」
スリーのスタッフは、社員・業務委託を含め15名ほど。一人ひとりのライフスタイルや価値観を尊重し、在宅勤務可など柔軟な働き方を推進している
寺村さんといえば、VRやAIを活用しているイメージがありますが、SNSも早くから取り組まれていましたよね。
2011年の東日本大震災がきっかけでした。電話やメールが使えない中でも、SNSは機能していました。その時に、インターネットの可能性を強く感じました。当時はアシスタントでしたが、そこからTwitter(現 X)でヘアケア情報を発信するようになったんです。
365日、毎日発信を続けたことで「美髪のプロ」としての認知が広まっていきました。これからは、「個の力が強くなる時代」だと直感。会社がつくったブランドではなく、強い「個」が集まることでブランドが生まれていくと思いました。
その後、フリーランス美容師として、2016年にご自身の著書を発行(『美髪のルール』ディスカヴァー・トゥエンティワン)。テレビや雑誌にも多く出演されました。サロンでの売上も順調でしたか?
25歳の時に、アシスタントなしのマンツーマン営業で、月間480万円の売上を達成しました。ただ、その裏では無理を重ねて体調を崩し、病院で「リーキーガット症候群(※)」と診断されました。働きすぎや食生活の乱れ、睡眠不足が原因だったと思いますが、つくづく「体が資本」だと痛感しましたね。
※リーキーガット症候群:腸の粘膜のバリア機能が低下し、本来腸内にとどめるべき有害物質が血液中に漏れ出してしまう状態。慢性的な疲労感や皮膚トラブルなど、腸だけでなく全身にさまざまな不調を引き起こす
ご活躍されていた裏で、そのようなことがあったとは…。
美容師としては早く結果が出たけれど、みんなが休んでいる間も働いて…。マラソンで例えると、給水ポイントがあるのに、飛ばしていたわけです。「若くして売れるには、無理をしなければならない」という美容業界の構造に、疑問を持つようになりました。
そこから働き方や食生活を見直して、少しずつ体調は回復していきました。
独立する際、美容室ではなく、サロンを支援する立場のスリーを起業したのは、なぜですか?
その頃には、自分が理想とする労働環境を提示するサロンも出てきていました。僕の強みは、ゼロイチで課題を見つけ、解決すること。優れたサロンと競合するのではなく、一緒に価値をつくる“共創”を目指そうと、スリーを立ち上げました。






















教育から、美容業界を変える!
学校・学生・サロンの構造変革。