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イノベーターが
見ている未来

vol.124

確固たる世界観を持ち、新しい取り組みをしている「次世代リーダー」へのインタビュー。
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

ファイブスターグループ 代表

佐久間 正之さん (age.43)

新卒給与25万円、次は賃金1.5倍!?
経営のプロが挑む業界の構造改革。

2013年に福島県郡山市で創業。ヘアを中心にアイラッシュ、ネイルなど多ブランドで50店舗以上を展開。表参道の「uni」「MUKU」を筆頭に、カリスマスタイリストの技術力×ファイブスターの経営力で、ブランドサロンを最速で立ち上げるモデルを確立。美容師の社会的地位向上と労務環境改善に取り組み、産後復帰率100%・新卒初任給全国一律25万円を実現。それらを可能にしたのは、職人と経営の完全分離モデルにあった。

株式会社ファイブスター 代表取締役社長・佐久間 正之さん/福島県郡山市出身・慶應義塾大学大学院 MBA修了。化粧品会社、株式会社リクルート(HOT PEPPER Beauty)を経て、2012年にシンガポールへサロン出店。2013年、株式会社ファイブスター設立。美容業界におけるLVMH構想を掲げ、日本初の韓国トレンドヘア特化サロン「uni」、カミカリスマが集う職人集団サロン「MUKU」、東北を代表するブランド「MACARON」など、国内外約50店舗を展開。
https://www.fivestar.hair/

第1章海外→地方→東京の逆算経営

「遠隔マネジメントで、
最高のサロンを作る」

2021年、長田タカラさんとともに、日本初の韓国トレンドヘア特化サロンを立ち上げた

1店舗目の出店が海外とのことですが、これはどうして?

ファイブスター設立当初は、並行して美容サロン向けの広告代理店もしていました。いろんなサロンから、海外出店について質問されることが多かったのですが、僕は海外に行ったこともないし、英語も話せない。でも「わかりません」とばかり言っていられないので、自分でやるしかないと。そこで、ヘアサロン1号店をシンガポールに出しました。

1号店が海外というのは、すごいですね。順調に進みましたか?

いいえ、壁しかありませんでした(笑)。僕は美容師でもなく、仕事でマネジメントを経験したこともない。中学・高校で生徒会長をやっていた時のルールを参考にしたくらいで、手探り状態でした。

ターゲットである現地の日本人に「現状のサロンにどういう不満がありますか?」とヒアリングを泥臭くやって。料金が不明瞭とか、技術がまちまちとか、いろんな不満が見えてきました。そこで明朗会計の一律料金をシンガポールでいち早く導入し、ヴィダルサスーンの基礎技術を持っている日本人スタイリストを集め、かつ半個室という3つの掛け合わせに。スタートダッシュから好調でしたね。

その後、東北で展開されたのはどうしてでしょう。

地元である福島の友だちが美容師で、労働環境でとても苦労していたんです。目の前の友だちすら救えないというのは話にならないなと。あと、2011年の震災の影響も大きいです。可処分所得が下位に沈んでしまった福島を、美容の力で元気にしたいと思いました。

ファイブスターの本社は福島ですが、佐久間さんもそちらに?

僕は当時も今も、東京に住んでいます。シンガポールも福島もそうなんですけど、遠隔マネジメントで最高のサロンを作る」というチャレンジをしたかったんです

いろいろなサロンオーナーさんから「2店舗目、3店舗目まではなんとかなるけれど、それ以上は目が届かない」という声を聞いていたので、じゃあ自分は最初から目が届かない場所でやってみようと。

コロナ禍真っ只中の時は、新店立ち上げの際も、東京から僕が行くと現場が気を遣うかもしれないので、本部スタッフから「来ないでください」と言われました(笑)。

信頼して任せられる状態ができているのですね。その後、東京に出店されました。

東京で成功したら、地方、海外というのが一般的ですが、僕は最難関の海外から挑戦し、地方、東京という順番。逆輸入というか、逆算経営です。

東京の表参道で、2021年に「uni」、2025年に「MUKU」をオープンしました。YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」のクリエイティブディレクターなどで有名な清水 恵介さんと専属契約をして、ファイブスターグループ全体のデザイン監修をお願いしました。今、この2店舗はファイブスターの“顔”ともいえる存在。ブランディングが確立できたように思います。

長田 タカラさん、佐脇 正徳さんと、業界で影響力の強い方たちがジョインしてくれたのは、どうしてだと思いますか?

僕の人柄ですかね…なんて(笑)。それは冗談ですが、彼ら自身も独立への思いはあれど、悩みもあって。感覚による意思決定や、属人的なオペレーションなど、いわゆる“職人経営”に課題を感じていたのでは?

ファイブスターのようにサロン経営に特化したプロ経営者と組むことによって、経営こちらが、彼にはブランディング技術、教育に専念してもらう。役割分担をすることで、効率的な経営ができ、成長スピードが加速します。

ここまで順調にやってこられた感じがしますが、大変だったことは?

コロナ禍のタイミングで、幹部の半数以上が独立して、従業員も減ってしまったことです。その出来事をきっかけに、経営を体系的に学ぶ必要性を感じて、慶應義塾大学大学院に進学。MBAを取得しました。2年間、2,000時間くらいかけて経営を学ぶなか、自分の考え方を180度変えないとダメだと気づきました。

理念とミッション・ビジョン・バリューを再設定して、レセプションだったスタッフをバックオフィスという形で切り出し、人事も任せていったら、うまく回り始めました。優秀なバックオフィスのメンバーとマネージャーたちが頑張ってくれたおかげです。

いい循環に入ったんですね。

コロナ禍の影響で就職が取り消しになってしまった人たちが、ファイブスターに新卒で入ってくれたことも一筋の光に。それまでは中途採用がメインでしたが、新卒を含めた教育サロンに転換。アカデミー制度を構築し、リブランディングで店舗デザインも一新しました。

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