第2章スタッフ第一の労働環境
「改善点は、“言いたい放題”でいい。
日本人はガマンして爆発してしまうから」
現在、都内に4店舗を展開。写真は麻布十番店（ほかに六本木ヒルズ店/東京ミッドタウン日比谷店/表参道店）
ジュリアさんが、サロン経営で一番大切にしていることは？
スタッフが100％！アメリカで働いていた頃はとにかく忙しく、プライベートタイムがまったくなくて。すごく勉強になったけれど、その時に「自分の会社をつくったら、スタッフを大切にしたい」と思ったんです。
残業なし、お休みと休憩はきちんととる、そして毎日ハッピーに働いてほしい。楽しく仕事ができれば、お客さまにも元気を与えることができますよね。
日本の美容室って、休みが少なかったり、長時間のシャンプーで手荒れを起こしたり…というところも。スタッフがしんどそうな顔をしていたら、お客さまが心配してしまいます。
だから、まずスタッフを大切にする。これは揺るがない、絶対に。
スタッフの雇用形態は？
社員・パートのミックスです。いまは女性スタッフが多いですが、10月から男性スタッフも加わります。
ママは3名。8月に赤ちゃんを産んだ子も、また来年、戻ってきてくれる予定です。今後もワーキングママを積極的に採用し、サポートしていきたいですね。
研修は、どのようなものがありますか？
技術面ではシャンプー・ブロー・マッサージ・アレンジなどですが、営業時間の間に教えるので、18時に帰ることができます。毎日、夜遅くまでやっていたら、手荒れや腰痛なども起きやすくなってしまう…集中して短時間でやったほうが、次の日のモチベーションもあがります。
それぞれの技術チェックに合格したら、デビューできます。
美容師さんとはまた違うので想像できないのですが、どのくらいの期間で合格しますか？
人によって全然違います。はやい子だと1カ月ということも。美容学校を卒業したばかりや、技術にクセがついていない子、あとやっぱりシャンプーが大好きという子は、はやく合格する傾向にありますね。
2年かかった子もいます。働きながらすごく努力して、会社中、その子の応援だらけ！でも、そうやって苦労した子は、そのあとがはやい。S字カール、アイロン習得はすごくスムーズでした。
私も各店舗をまわり、自分の髪をやってもらって、技術チェックをしています。
「指名制」がないとか？
日本は、美容師さんの離職率が高いですよね。労働環境や結婚・出産を理由に、働くのをあきらめてしまう人も多い。そこで「残業なし」「週1日、3時間勤務でもウェルカム」「複業OK」という自由な勤務体系を導入しました。
柔軟に勤務シフトを変えられるようにするには、指名制をなくすしかありません。そのかわり、技術レベルを統一して、どのスタッフに当たっても差がない。みんな同じで、みんなハイレベル。それが、Jetsetです。
シャンプー＆ブローでサロンに通ってくれるお客さまなので、ある程度お金に余裕があり、接客レベルも高いものを求められるのでは？
コミュニケーションやサービスを学ぶ「接客マニュアル」もあります。スタッフに言うのは、お客さまが求める居心地のいい距離感を意識すること。
たとえば「スマホや本を見ていたら、声かけを控える。逆に、話したそうな雰囲気であれば、とことん話しかける」といった形です。
ドアを開けてから最後のサヨナラまで、ずっといい気分でいられる場所でありたいですね。
日頃、スタッフの方にはどのように接していますか？
「この子、最近やる気が落ちているな」とか、「ブローでのツヤが足りない」と思ったら、直接言います。「元気がない」と思った時も、すぐ聞く。「大丈夫？心配しているよ」って。それは私だけでなく、スタッフ同士でも。
お客さまも、Jetsetを「自分の店」のように思ってくれているので、ハッキリ伝えてくれますね。その意見は大切に受け止めて、チームで改善しています。
“言いたい放題”でいい。日本人って、ガマンしてガマンして、爆発してから言ったりしますよね？爆発前に言ってくれたら、こちらはちゃんとアイデアを考えられる。だから、日頃のコミュニケーションが大事です。上からガンガン言うのではなく、みんなの意見を聞くし、こちらも言う。
それには、お互いに「何を言っても大丈夫」という雰囲気や信頼関係をつくることが大切です。イヤな気持ちで8時間働いたら、楽しくないし、疲れてしまう。チームプレイでやれば、仕事もしやすくなり、結果、お客さま満足につながるはず。
