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第2章1年デビューは、なぜ可能?

「早期デビューは
求人でも強みになる」

LUVISMは新潟が拠点です。サロン運営にあたり、「地方ならではの戦い方」として意識していることは?

新潟は、平均月収や世帯年収が「全国平均以下」だという調査データがあります。ただ、可処分所得は全国でも上位のほうで、自由に使えるお金はあるんですね。でも物価に対してシビアな面があって、生活コストが低い割に高いものは好まれにくい。こうした傾向は、新潟に限らず地方で顕著だと思います。

だから価格戦略においては、価格を引き上げずに「人時生産性」を高めるようにしています。仕入れ時の交渉や、まとめて発注することで材料費を抑えたり、短時間で施術ができる工夫をしたり…。

お客さまからいただく単価自体は変えずに、「時間あたりの売上を高める」というほうが、地方には合うんじゃないかと思います。絶対に値上げをしないわけではなくて、上げる場合はお客さまがしっかりつかめた店舗から。少しずつ時間をかけて、メニュー内容を充実させたうえで単価を上げます。

LUVISMの特徴として、スタイリストデビューまでの早さもあります。1年~1年半とのことですが、早期デビューの秘訣は?

丸一日、教育にあてるスクーリング制度を設けたことですね。以前、朝練・夜練で教育していた頃は、デビューまで3年くらいかけていました。このスクーリング制度では週1日、月換算で30~40時間ほど技術担当のスタッフが教えています。もちろんこの日も給料が発生する勤務扱いです。

学ぶ内容自体を絞り込んでいる点も、早期デビューにつながっています。うちは、ターゲットを20代中心に設定しているので、お客さまの8割が20代。するとターゲット世代には使うことがない、「いらない技術」というのが出てくるので、そこを省いた教育に限定できるんです。

なるほど!

そもそもは、求人のためでした。5年ほど前から求人をかけても集まりにくいと感じていて。そんな中でもアシスタント志望で応募してくる子はいて、話を聞くと「前のサロンは全然教育をしてくれなかった」と言うんですね。オーナーさんが忙しくて、営業後は帰りたそうだし朝も大変そうだし…と。だったらこういう子たちが来たくなる環境にすれば求人も集まり、早期デビューができればスタイリスト不足で困ることもない。

レッスン生が10人くらいいると年間利益で200万円くらい下がりますが…その程度、とも言えます。スタイリストひとりの求人にも40万円くらいかかるので、200万円かけてもスタイリストは5人しか入らない。同じコストで10人のスタイリストが育成できると考えれば、高くはありません。それに早期デビューできれば、利益も早く回収できます。

実際、新卒も中途も、応募者がすごく増えましたね。

ちなみに「教育」の面で、地方は全体的に少し弱い、といった傾向はありますか?

それも否定できないと思います。抜けたスタッフの分を補充するだけで精一杯のところも多く、出店をする体力がない。そうすると教育に熱が入らず、若手を売り出すのも難しくなります。なので、教育面を整えていることは、早期デビューとあいまって「求人の強み」になります。

また、「教育でスタッフを輝かせ、自分たちの生活の保障を上げる」というのをいちばんの理念に置いて実践しているので、離職も少ない。いい循環ができています。

動画教育も活用されているとか?

「先輩がカットの手本を見せるから集まって」って言われたら、僕らの時代は紙とペンを持っていった。でもいまの子は、スマホで動画を撮ることに一所懸命で、リアルの目で見ないんですよ。最初はびっくりしたんですけど(笑)、よく考えたらこれは進化だなと。じゃあ、「動画はこちらで用意するから、ここでは切るところを集中して見てね」という形に。

教育用動画は、「教える側のスタッフのため」という面も。何度も教えるのは、講師が疲弊します。結婚したり小さな子どもがいる講師は、夜中までアシスタントに付き合うと、家庭での立場が悪くなる。僕自身もそういう経験をしました(笑)。だったら動画を作ろうと。同じ動画で教育すれば、店舗によって教え方が違う、という問題も防げます。

最近の「地方のZ世代」が、美容サロンに求めるものの傾向はありますか。

やはり早期デビューはめちゃくちゃ求められますね。かつては技術を3~5年間学んで、デビュー後は、サロンが集客した新規のお客さまのリターン率を高めることに苦心して…という感じでした。でも時代が変わって、たとえばブリーチカラーとかメンズパーマとか、自分の強みを設定して、それオンリーでSNS発信すれば自己集客ができるように。さらに来店するのは自分の強みに合致したお客さまだから、リターン率も高くなる。結果として売れっ子に…というのが最近の構造です。

Z世代は、それを知っている。だから、5年間も学ぶだけって耐え難いですよね?「あそこのサロンの子は2年でデビューしているのに、私はいまだにシャンプーだけ?」という状況に焦る。SNSを見たら、全部わかってしまう時代ですから。

スタッフとのコミュニケーションで工夫していることは?

スタイリスト一人ひとりと3カ月に1回、1時間の面談を行っています。事前に、次にやりたいことや最近の周りの出来事を書いてもらうので、それを見て対応を変えています。たとえば、アシスタントとの連携に悩んでいるなど「他者が関わる場合はヒアリング」に徹します。売上が100万円から95万円に下がったなど「自己のインナー面に関するものならコーチング」していく。

面談をすると、売上や指名率もグンと上がるんです。なかには指名売上が30万円だったのが、1年後には130万円になった子も。その子の場合は、がんばり屋さんだけど、自分の得意とマッチしない売り出し方をしていたので、適正化するためにコーチングをしました。地方サロンって、売り方を変えるだけで本当にターゲットに刺さるようになるんです。

HOT PEPPER Beautyのスタイリスト紹介ページでも、「かわいいデザイン作ります」「楽しくお話しましょう」とかフワッとしたことを書いているサロンが多い。事実に即して、たとえば「女性指名率、店舗No.1!」と書くだけで、その子の売上が月20万円上がったことも。それぞれの強みに合わせて、「ダブルカラーが得意」とか、「手ぐしでセットしやすいカット」とかでもいい。

地方は人口が少ないからターゲットを絞ったら人が来ないのでは?と、心配する人もいますが、そんなことはない。個人の強みを設定している人が少ないからこそ、「選択と集中」をさせると成功するんです。

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