第3章バーバーを通して目指す未来
「バーバーは仲間だ、敵じゃない。
美容室にいった男を取り戻そう!」
今後の店舗展開の予定を教えてください。
国内は、あと何店舗か出そうと思っていますが、チェーン店化してブランド力が弱くなるのは避けたいので、慎重に。FCをやれば儲かるのはわかっていますが、長い目で見たら、かっこよくなくなっちゃうので。
海外だと、台湾・シンガポールが進行中で、メキシコからも話をもらっています。海外は、理容師・美容師免許がない国も多いですよね。うちのアカデミーを卒業したというのが大きな資格になると思うので、出店とアカデミーはセットで考えています。
また、MR.BROTHERSは全部自社で内装も手がけているんです。日本の職人さんって、世界的に見ても、かなりクオリティが高い。今後、MR.BROTHERSの大工版をつくって、世界に派遣したいですね。
夢が広がります。ほかに構想は?
LA店舗の壁は、高さが7メートルほどあるんですが、半分をギャラリースペースにして、アート展示を行っています。
日本人ってアートに対して、アーティストの“バックボーン”ばかり見る傾向があるように感じます。どこ出身で、どういう友だちがいて…とか。対して欧米は、“モノ=作品”だけを見て評価をしてくれる人が多い。ストリートアーティストが海外で勝負したい時に、まずはうちの店舗を使ってほしいな、と。これに関しては、お金儲けはまったく考えていなくて、夢の手助けをしたい。ここから、世界的なアーティストが出てきたら最高です。
近いうちに、自社ホームページでもメタバース(仮想空間)を使って、そのアーティスト作品を見られるようにしたり、NFT(※)作品としての販売も考えています。アートを身近に感じられる場所として、日本と世界のハブになれたらいいですね。
(※NFT=Non Fungible Token:アートや音楽、コレクターズアイテムなどのデジタル資産にブロックチェーン上で所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークンのこと)
あと、たとえばMR.BROTHERSのページから、仮想のスピークイージー(禁酒法時代の隠れ家バー)に入り、中にいくと各店舗があって。そこからスタッフのボタンを押すと、各人の自己紹介やYouTubeなどが見られるようにしたりとか…。
とても先進的ですね!バーバーは、国内でも競合が増えてきていると思いますが、その点についてはいかがですか?
バーバーに関しては、西森を尊重しているので、彼のやりたいことを手助けしたい、というのが根底にありますが…。
MR.BROTHERSとしては、さらにブランド価値を上げていきたい。個人で、有名デザイナーのファッションショーに出るとか。今後は日本でもアカデミーを運営して、もっともっと、かっこいい男を増やしたいですね。
ほかのバーバーは、敵じゃなく、仲間。「美容室に取られた男たちを、全部取り戻そうぜ!」って、そういう気概でやってます。
中古ブランド品店をヴィンテージショップと名を変え、世界観ある内装に一新して販売する。理容室をバーバーと呼び、徹底したブランディングで打ち出す。
視点を変えての、リブランディング。いろんな国を見てきたからこそ、点と点をつなぎ、課題を解決することが得意なのでしょう。
日本と世界の架け橋になれることはないかと、今日も世界を飛びまわる。
『もっともっと、かっこいい男を増やしたい』…
その思考も含めて、こんなにかっこいい人が言うのだから、その説得力といったら半端ないです。