イノベーターが
見ている未来
vol.119
その取り組みと背景、そして未来についての展望をうかがいます。

株式会社ビューティガレージ
代表取締役会長兼CEO 野村秀輝さん (age.58)
かつて美容業界でタブーとされた中古流通やEC卸は、いまや当たり前に。そのパラダイムシフトをけん引してきたのが、ビューティガレージだろう。中古美容器具事業からスタートし、EC、サロン支援など多角化を進め、売上高は337億円超!国内美容ディーラーとして首位に立った。2025年7月24日、創業者の野村氏が会長に、同社取締役の樺島氏が社長に就任するツートップ体制が正式発足。その狙いと今後のビジョンとは?
・「ビューティガレージ」公式サイト
第1章世の中の常識は、美容業界の非常識!?
「タブーとされていたことを
3つ一気にやり、大バッシング」

さまざまな事業を展開されています。「ビューティガレージは何の会社?」と聞かれたら、どう答えますか?
大きく分けると、美容の専門商社、美容の機器メーカー、EC・IT企業、サロン支援という4つの顔を持っています。創業以来、22期連続での増収を実現できたのは、次の収益機会を見据えながら、ビジネスモデルを変化させ続けてきたからだと考えます。だから従業員に、いつも言うんです。「何の会社か説明しにくいということは、オンリーワンである証拠。誇りに思うんだよ」と。
事業内容は多岐にわたる(資料:ビューティガレージ提供/中期経営計画より)
野村さんはもともと大手広告代理店にいらしたそうですが、なぜ美容業界に?
ビューティガレージ創業前に、マーケティングプランナーをしていた頃のこと。「中古美容器具ビジネスをやりたい」という相談を受けたのがきっかけでした。事業計画を作るために理美容業界を研究する中で、愕然としました。「なんて旧態依然とした業界なんだろう」と。その中古美容器具会社の出資者を探しましたが、結局見つからず。「じゃあ、私がお金を出しましょう!」と筆頭株主になり、起業することになったんです。
世の中の常識は、美容業界の非常識。風穴を開けることができれば、チャンスがあると思いました。
美容業界に古い慣習が残っていると感じたのは、どのような点ですか?
多層的な流通構造や、中古取引はタブー視されること、ネット販売を認めないとかですね。それも法律上ではなく、暗黙のルールで。ビューティガレージは「直卸し・中古販売・ネット販売」と、“やってはいけない”と言われていたことを、3つ一気にやったので、既存流通から大バッシングを受けました。
ある日突然、大手機器メーカーさんからの取引が停止に…。修理ができない、パーツが取れないというのは、従業員の生活を絶たれたことに等しい。メーカーさんに直談判しましたがダメで、これはもう自分たちでやるしかないと奮起。美容室のイスや鏡、シャンプー台などを、ゼロからつくることにしました。
当時は、「既得権益を打ち壊す!」という反骨心を支えに…(笑)。そのおかげで自社の機器開発ができたので、今となってはよかったなと思います。
2013年にIPOをした後からですかね。取り扱ってくれるメーカーさんが少しずつ増えて、取引ブランドは1,700以上になりました。
そして、大きなニュースも入ってきました。ビューティガレージは、野村さんが社長から会長に、樺島さんが新社長のツートップ体制になるとか?
私の引退に向けての準備…ということではありません(笑)。むしろ、次のフェーズへ進むためです。
これまでは私のリーダーシップに頼る組織であることを弱点に感じていましたが、そこを変えていきたい。新社長の樺島をはじめ、各部門のリーダーたちが自ら意思決定できるように経営体制を強化。私は会長として、グループ全体の戦略策定、IR、M&Aを含めた新規事業、そしてガバナンスの役割にシフトします。
代表取締役社長兼COOに就任した樺島義明さん。野村さんとは広告代理店時代から25年以上の付き合いで、ビューティガレージ創業メンバーの一人
美容業界の“暗黙のルール”を打ち壊す!
ディーラーを超えたサロン支援カンパニー。