第3章業界課題に挑む、次なる一手
「目指すは、開業と繁盛を支援する
サロンコンシェルジュNo.1企業」

野村さんが思う、美容サロンの課題は?
採用・教育・集客という、3つの大きな経営課題があると思います。それらに対し、既存プレイヤーとの連携強化や、新サービスの立ち上げも模索しながら、サポート体制を構築しています。
目指しているのは、「開業と繁盛を総合支援するサロンコンシェルジュNo.1企業」。資金調達から物件探し、内装などをサポートする「開業支援」はすでに行っていますが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスも推進。先ほど課題であげた採用・教育・集客はもちろん、材料仕入れ、経理・財務、経営分析といったバックオフィス業務全般を請け負う形。
さらに、ビューティガレージが店舗所有者となり、サロン運営を委託する「店舗運営委託」も準備中です。この委託モデルと、既存の「店舗まるごとリース」「店舗サブリース」を合わせて、2029年までに1,000店舗が目標。
これらによって、美容従事者のみなさんがサロンワークなどの「コア業務」に集中できる環境を整えることができます。
ビューティガレージのターゲットも拡大していますね。
理美容室、エステ、ネイル、アイ、リラクゼーション、鍼灸整骨院、フィットネス、温浴施設と、「ビューティ&ウェルネス」領域全体に広がっています。
美容室の一角にリラクゼーションやネイルコーナーをつくるとか、そういった話もたくさんあるので、ビューティガレージがプラットフォーマーとなり事業提携できれば。
また店舗設計において一部すでに受託していますが、将来の潜在領域として医療クリニックやデンタル市場、トリミングサロン・動物病院も視野に入れています。
自社でメディアを持っていることも、ビューティガレージの特長です。
壮大な構想で、ワクワクします。
創業当初は反骨心でやってきたとのことでした。今、野村さんを動かすものは?
私は結構しつこいので、今も反骨心はあります(笑)。あとは、「損得より善悪で判断する」という信念を大切にしています。利益ではなく、「サロンさんの役に立てるかどうか」が判断軸。それは従業員にも浸透していて、みんな寄り添う気持ちが強い。こんなことを言ったら笑われるかもしれませんが…。美容サロンのみなさんにとって、“正義の味方”のような存在でありたい。本気でそう思っています。
そう伝えると「全部正直に言ってしまうから、余計に敵をつくる」と笑った。
新しいことに挑戦すると、時として叩かれる。
いや、“時として”どころではなく、叩かれ続けた22年だったのかもしれない。
掲げているのは、叩いてもホコリが出ない「やましいことのない会社」。
逆境を成長に変えて、今がある。
現在58歳の野村さん。手帳には「63歳で成し遂げたい夢」が。
それが何かは明かせないが、正義を証明するための挑戦は続く。

2003年、創業した頃の野村さん(左)と樺島さん(右)。渋谷にあるワンルームマンションからスタート。中古器具を仕入れ、部品を確認、修理…と、汗水垂らして奮闘していた日々