第2章EC×AI先行企業のアドバンテージ
「もっとサロンの役に立てる
ソリューションカンパニーに」

国内10・海外に1拠点あるショールーム。リアルでの顧客接点も大事にしている
ビューティガレージの売上高は337億2,100万円(2025年4月期決算)と、国内美容ディーラーの中でトップに。好調の理由を教えてください。
コロナ禍で「ネット注文」が当たり前となり、その便利さに気づいてもらえたことが大きいとも考えています。
ただ、私たちにとってディーラー業は、あくまで複数事業の中にある“カテゴリのひとつ”。そこでの売上トップがゴールだとは思っていません。もっともっとサロンさんのお役に立てる、真のソリューションカンパニーになることが目標です。
先行してECをやってきた強みは、どこにあると思いますか?
圧倒的な顧客資産です。会員数は累計70万アカウントを突破し、アクティブ会員も20万人弱。商品に対するレビューも、何十万と蓄積できている。導入前に他の美容師さんのリアルな評価を確認できる仕組みは、信頼性が高まります。
そういったデータベースや、最新テクノロジーの活用によって、さらなる利便性向上に取り組んでいきたいです。
2023年の段階で、AI連携による「美容サロン開業相談チャットボット」「EC問合せ対応チャットボット」をリリースするなど先進的です。
ちなみに、美容サロンにおけるAI活用をどのようにお考えですか?
サロンさんも、お客さまのデータベースを持っています。AIを使うことで、きめ細やかなパーソナライズ、商品開発に活かすなど、できることはたくさんありそうですよね。
サロン生存戦略を考えた時に、物販比率をもっと上げて、労働集約型ビジネスモデルから脱却することが大切だと思います。物販に力を入れてメーカー化するという路線もあるでしょうし、eコマース・サロンECに軸足を移すというやり方も。
ビューティガレージのサロン店販プラットフォーム「Salon.EC」は、初期費用・利用料・在庫リスクゼロでECサイトを立ち上げられるサービス
2024年に、美容業界専門出版社「株式会社ヘアモード社(旧:女性モード社)」を子会社化したことも話題になりました。
ヘアモード社の事業継続を支援することが、美容業界への恩返しになると考えたのが嘘偽りない気持ち。ですが、いろいろな誤解からヘアモード社への広告出稿停止や業界団体からの排除など、厳しい事案が続きました。
そこで、ヘアモード社にタブロイド誌をつくってもらい、ビューティガレージ会員に商品を発送する際、一緒に届ける取り組みを5月から開始しました。内容は、ヘアモード社が持つ専門知識を活かしたコンテンツや、ビューティガレージのデータベースから抽出したランキング情報など。美容師さんたちにも好評です。
ヘアモード社とビューティガレージのシナジーが生まれた好事例ですね。
ありがたいことに、タブロイド誌への広告出稿の依頼が殺到しています。ターゲットであるお客さまに直接リーチできるうえ、広告ページにある二次元バーコードから商品注文が可能という導線が、広告主さんから評価いただいたと感じています。