お客さまに支持されたサロンを表彰する日本最大級のアワード、「HOT PEPPER Beauty AWARD」。「GOLD Prize」「SILVER Prize」受賞サロン、または「注目サロン」に選出されたサロンへのインタビュー。取り組みや受賞の秘訣をうかがいます。
【札幌】「リターンまでが仕事」
顧客満足を追求するSEAMの哲学。
SEAM【シーム】
HOT PEPPER Beauty AWARD 2025 GOLD Prize
札幌・大通エリアに位置し、全席半個室の上質な空間と高い技術力で、多くのお客さまから支持を集めるSEAM。リピート率8割以上を誇る背景には、顧客満足を徹底的に追求する姿勢と、スタッフの成長に対する「本質的な厳しさ」がありました。

CONCEPT
全席が半個室仕様で、一度席に着いたら、移動することなく施術が完了するプライベート空間を提供。お客さまのボリュームゾーンは20代前後の女性だが、10〜60代まで幅広い層が訪れる。スペースを狭くしてまで席数を増やすのではなく、ゆったりと心地よく「長く通い続けたい」と思える空間づくりを最優先にしている。
AWARD受賞・
売上アップに向けた
取り組み
プライバシーと快適性を重視した「半個室」設計
リピート率を最優先にする新規入客の仕組み
「シンプルな評価」でスタッフの成長を促す
プライバシーと快適性を重視した「半個室」設計
全席にシャンプー台がセットされた半個室空間は、移動することなく施術のすべてを完了できる、まさに「お客さまファースト」の設計。
美容室は髪の悩みなどセンシティブな話もする場所。
例えば、病院で診断を受ける際は個室が一般的であるように、美容室でもプライバシーが守られた空間が必要だと考えている。
お客さまの中には、カラー中に顔がむき出しの状態で放置されるのを恥ずかしいと感じる方もいるだろう。
こうした半個室は、髪の悩みなどを気兼ねなく相談できる環境であると同時に、そうしたお客さまも快適に過ごせるための空間でもある。
誰もが「特別な時間」として過ごせる快適性と体験価値を最優先にしている。
スタイリングチェアとシャンプー台が一体となった「ONE」を導入することで、移動せずにすべての施術を完了できる
リピート率を最優先にする新規入客の仕組み
「リターンしてもらうまでが仕事」という哲学のもと、SEAMでは短期的な対応ではなく、お客さまがずっと通い続けてくださるような関係を築くことを最重視している。
フリーで新規の予約をいただいた時、とりあえず「空いているスタイリストに振り分ける」ことはしない。
空いている(=実力の足りない)スタッフが担当しても、「リピートしていただけない」とデータでも実証されているからだ。
せっかくご来店いただいたお客さまとの貴重な機会を失うのはもったいない。
そのため、リピート率が高く、技術力もあるスタイリストから優先的に新規客を入れる仕組みを徹底している。
「厳しい」と言われることもあるが、お客さまのことを第一に思うからこそのルールだ。
「シンプルな評価」でスタッフの成長を促す
スタッフの評価は「指名売上」のみというシンプルな仕組み。
努力が報われるべきという考えのもと、「正社員スタイリストの約半数が年収500万円」という高待遇を実現している。
この背景には、お客さまの満足を最重視するがゆえの「厳しい教育」がある。
「若いうちに本気で取り組まないと生き残ってはいけない」「練習もしないで売れる美容師になれるわけがない」「本気で向き合った人にしか、お客さまも振り向かない」
すべてはサロンの質を落とさず、お客さまに満足していただくためであり、その本質的なマインドを入社後すぐに伝えている。
さらに面談では「今この状態だったら3カ月後はこうなっているよ」と、具体的な数字で今後のビジョンを共有している。
普段は厳しい分、「微増」であってもしっかりと見つけて褒めることも意識し、成長を細やかにサポートしている。
インタビュー
「SEAM」COO・藤川和也さん
1987年、青森県出身。東京の大型サロン、フリーランスを経て、株式会社hanicoに入社。bico原宿店の立ち上げを経験後、札幌へ。現在は取締役として、主に現場の美容師の教育・育成を担当し、サロンの成長を牽引している。
ーサロンのいちばんの強み、大切にされていることは何ですか?
いろんなお客さまがいらして、どんな方でも特別な時間を過ごせる環境を整えています。
僕たちは、「お客さまと一緒に年を重ねていく美容師であること」を大前提にしていますから。
例えば、若いお客さま向けにブリーチの技術に特化してしまうと、客単価は上がって良いのですが、年齢を重ねてブリーチをしなくなった時に、離れてしまう。
じゃあ次はこういうデザインを、と年齢に応じた提案ができ、40代、50代のお客さまの心もしっかり掴めるように、というのは常々伝えていますね。
ーその考え方は、サロンの空間づくりにも反映されていますか?
はい、空間づくりも同じ考え方です。
若いお客さまとご年配の方が混在しても、お互いが気にならないような設計にしていますし 、一席を広く取っているので、隣も気にせずゆっくり過ごせるかなと。
ー新規入客のルールは「リピート率の高いスタイリストから」というのが印象的でした。
はい、「リターンしてもらうまでが仕事」だとよく話しています。結果として、8〜9割のお客さまがリピートしてくださいます。
リピート率の高いスタイリストは、しっかり技術を練習していて、上手だというのが大前提。
あとは、コミュニケーションの質だと思います。
特に、最初と最後のカウンセリングで「お客さまとゴールが合致していない」から失客してしまう。
そうならないように、数字を見ながらスタッフと面談をしています。
ー面談では、具体的にどのようなお話を?
まず、独自に毎月出している「指名売上」と「指名ではない売上」のグラフを見せます。
一目でリピート率がわかるので、数字が低いスタッフには「なんでこうなっていると思う?」という話をします。
ーその上で、改善に向けてはどんなことをしていますか?
実際に僕がやって成功しているカウンセリングの方法を理論的に説明しますね。
僕とそのスタイリストでカウンセリングのロープレをしながら、「こういう時はこう対応した方がいいよ」「今はお客さまがこう考えているから、こういう選択肢を出した方がいい」といった感じです。
最後は、「騙されたと思って一度やってみて」と(笑)。やっぱり、素直な子はそれでちゃんと伸びますね。
ー昨今は「若いスタッフへの教育が難しい」という声も聞かれます。
この3年ぐらいは、やさしくもしてみましたし、色々とシステム化を考えてみたりもしたんですが、結局は「厳しさ」がいちばん大事だなって。
ーというのは?
最初の最初に、そのスタンダードな厳しさ、大切なこと、当たり前のことを当たり前にしておかないとな、と。
美容師として当然なんですが、練習もしないで売れる人になれるわけはないですし。
パワハラっぽくなってしまうのは嫌なので、もちろん気は遣っていますが。
ースタッフの皆さんのHOT PEPPER Beautyのブログ更新も非常に活発ですよね。
スタッフには「暇な時間があるなら書いて」と伝えています(笑)。
自分のSNSはやるのにブログは書かない人もいますが、もったいないことですよね。
HOT PEPPER Beautyはたくさんの人が見ている媒体なんだから、それを書く方が効率良いよね、と。
高頻度で更新されるブログ。スタッフごとの個性が表れている
ーブログやスタイル写真の更新も、入客ルールに関係しているんですか?
はい、スタイル写真も月に2回はアップするように言っています。
そういう、会社から頼んだことをきちんとやっている人から新規を入れるようにしています。
頑張った人がちゃんと報われるようにしたいと考えています。
ーお客さまとスタッフの皆さん、どちらのこともとても大事になさっているんですね。
そうですね。
リピート率にもこだわって、いつでも全席を完全に埋められるようなサロンにしていきたいですね。
会社としては、福岡や東京などへの出店も予定していて、どんどん規模が大きくなっています。
そういう中でも、最終的に僕の使命は、現場で働くスタッフをしっかりと育ててお給料を上げていき、充実した生活を送ってもらうということにあると思っているので。
取材レポート
「リターンしてもらうまでが仕事」
その言葉に宿る静かで熱い炎のような哲学。
ご本人は「厳しさ」という言葉を使われていたが、インタビューは終始穏やかで、その語り口からはむしろ「やさしさ」が滲み出ていた。
それはきっと、 顧客の満足だけを真っ直ぐに見つめるからこその、本質的な「厳しさ」。
すべての仕組みが、お客さまの「また来たい」という思いと、スタッフの「未来」を育むために編み上げられている。
その一貫した哲学こそが、SEAMの源泉なのだと感じた。
SEAM【シーム】
- アクセス
- 「大通駅」より徒歩3分
- 創業年
- 2018年
- 設備
- セット面21席
- スタッフ数
- スタイリスト16名、アシスタント5名























