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【特別編】美容専門学校インタビュー

「美容室は、障がいがある方にとって必ずしも利用しやすい環境とは言えないこともある」。こうした課題意識を持ち、学校法人ロイヤル学園(大阪ベルェベル美容専門学校/神戸ベルェベル美容専門学校/熊本ベルェベル美容専門学校/大阪ベルェベルビューティ&ブライダル専門学校)では、授業の中で障がいがあるお客さまへの接し方を学んでいます。

今回は、ベルェベル統括センター教務部 部長である清水洋平さんに、取り組みの背景、具体的な授業内容、そして学生や業界に起こりつつある変化についてお伺いしました。

学校法人ロイヤル学園 ベルェベル統括センター教務部 部長 清水洋平さん

学校法人ロイヤル学園(大阪ベルェベル美容専門学校/神戸ベルェベル美容専門学校/熊本ベルェベル美容専門学校/大阪ベルェベルビューティ&ブライダル専門学校)大阪、神戸、熊本に計4校(2025年12月時点)。
「ロイヤル学園に関わるすべての人へ教育を通じて感動を提供し、社会に貢献する」という学園理念に基づいた社会貢献活動「かなえプロジェクト」では、地域のイベントや企業と連携し、介護施設のカットボランティアや子供会イベントへの協力などのボランティア活動に挑戦。キャンパスを飛び出して実践を繰り返しながら、人間力やスキル、一生の絆を育んでいます。

「自分とは異なる立場にある人」の視点に立つ学びとは?

具体的な取り組みを教えてください。
学生と教職員の全員が「ユニバーサルマナー検定」を受講しています。

美容業界は必ずしもあらゆる方に優しい環境であるとは言い難いと思っています。例えば、障がいがある方はさまざまなことを理由にサービスを受けにくくなっている現実があります。教育機関として、こうした業界の課題に向き合い、多様性を理解し、知識を持った卒業生を社会に送り出すことが重要だと考え「ユニバーサルマナー検定※」の導入に至りました。

社会には、高齢の方や障がいのある方、LGBTQ+の方、外国籍の方などさまざまなバックグラウンドの方々がいます。この検定を通して、自分とは異なる立場にある人の視点に立ち、適切な取り組みをするために必要な心構えや行動、コミュニケーションスキルを身につけてほしいと思っています。

※ユニバーサルマナー検定とは?
株式会社ミライロが主催、運営しており、 一般社団法人日本ユニバーサルマナー協会が認定。”高齢者や障害者など多様な方々と向き合う上で必要な「マインド」と「アクション」を体系的に学び、身につけるため”の検定。(こちら

(授業が追加になるわけですが)いつ頃から始めましたか?
当初はウエディングプランナー科から導入し、手応えを得て全学生に対象を拡大しました。

導入は2019年に、まずウエディングプランナー科から開始しました。ウエディングプランナー科の学生たちは、授業の一環で結婚式のプロデュース体験をするのですが、実際に車椅子の方が参列されるなど多様な対応が求められます。この実習教育を重視する観点から、まず必要性が高いと考えた学科から導入しました。導入後に「入れてよかった」という手応えがあったため、2022年からは美容科を含めた全校・全学生(毎年約1,000名規模)を対象に実施を拡大しています。

授業内容はどのようなものですか?
資格取得の授業は1日半、検定受講後も多様な方々への接遇を特別授業で学んでいます。

ロイヤル学園では、全学生と全教職員を対象にユニバーサルマナー検定(3級・2級)を導入しています。検定の授業は、3級は半日、2級は丸一日かけて実施しています。特に2級では、自分が車椅子や白杖を使用する体験をしたり、目隠しをして視覚障がいの方の感覚を知る体験、実際の車椅子の動かし方など、実体験を重視しています。検定受講後も、振り返りの授業や、外部の講師をお招きした特別授業を段階的に実施し、多様な方々への接遇を授業の中で学んでいます。

(写真提供:学校法人ロイヤル学園)

学生の意識の変化や、発展的な商品開発の授業まで

学生の意識の変化などは感じられますか?
今のZ世代は多様性への理解が進んでおり、インクルーシブなコミュニティ形成が見られます。

今のZ世代が過ごしてきた環境は、私たちの世代(30代、40代、50代)が過ごした環境とずいぶん違います。障がいがある方やLGBTQ+の方は、昔と比べて今は自身を隠さない方が増えているとも思います。そういった意味では、もしかしたら学生たちの方が、我々世代よりも多様性への理解が進んでいると感じる場面が多いです。例えば、男女問わずコミュニティを自然に形成している場面などを見ると、昔と比べてインクルーシブになってきていると感じます。

発展的な取り組みとして「インクルーシブデザイン授業」を導入されたそうですね。
障がいがある方も意識した商品開発を実践しています。

これは、美容科の選択コースの一つであるマネジメントコース(約100名)で実施している授業です。このコースは、将来自分で経営をしたい、お店を持ちたいという学生に対し、美容室目線で経営を学んでもらう珍しいコースです。授業では、学生が美容室経営を見立て、ターゲット選定、マーケティング、デザインなどを学び、実際にシャンプーやトリートメントの商品開発を行っています。その開発した商品に、ユニバーサルマナーの学びを活かしてインクルーシブ化(障がいがある方も使いやすい設計)を取り入れています。パッケージに点字を入れるなど視覚障がいがある方の使いやすさを意識しつつ、「おしゃれで使ってみたい」と思えるデザイン性の高さも追求しながら取り組みました。

(写真提供:学校法人ロイヤル学園)※2025年6月から「ミライロID」のオンラインストアで流通・販売も開始

学生が開発した商品のフィードバックはどのように得ていますか?
一般のお客さまや高校生に二次元コードをつけたサンプルを配布し、アンケートからフィードバックを得ています。

商品の小さいサンプルも作っており、オープンキャンパスに来た高校生や、美容師免許を持った進学希望者が運営する学園内の美容室「プロサロン」で一般のお客さまに配布しています。サンプルには二次元コードをつけてアンケートを取り、そのフィードバックを基に、狙い通りの商品だったかなどを検証し、授業を締めくくります。一般のお客さまにも販売しており、月に20~30本ほど売れています。

生徒・教職員の変化と、業界への貢献

授業を受けた学生や教職員にどのような変化がありましたか?
学生は対応への自信と一歩踏み出す力をつけ、積極的に「何かお手伝いできますか?」と声かけできるようになりました。

一番大きな変化は、障がいのある方への対応に対する自信と一歩踏み出す力の向上です。検定の授業前は、何をしたらいいのか分からずに固まってしまう学生が多かったのですが、検定の授業を通じて対応方法を学んだことで、積極的に「何かお手伝いできることはありますか?」と声かけができるようになりました。

アンケートでも、自己評価で「自信を持って対応できる」という高評価層が大幅に増加しました。また、教職員側も、学生の理解度が高いことから、教育機関として積極的に知識をつけていかないといけないと感じており 、教職員自身の学ぶ意欲にもつながっています。

授業を受ける前の自己評価では5未満のシェアが4割超あった(学校法人ロイヤル学園ホームページより)
授業を受けた後ではほとんどの生徒の自己評価は6以上に(学校法人ロイヤル学園ホームページより)
今後の美容業界や、未来の美容師に求められることについてのお考えをお聞かせください。
知識と接遇の改善を通じて、一人ひとりに寄り添える環境づくりのきっかけを作りたいと考えています。

美容業界は、労働環境やダイバーシティの面で社会の流れに取り残されがち、いわゆるガラパゴス化しがちという課題があります。学園では、業界全体の改善を目指し、学校がいただく求人票については、労働基準法や最低賃金遵守の指導を行うなど、サロンへの働きかけも行っています。

また現在、ミライロ社と共同で美容室に特化したユニバーサルマナー検定を開発中であり、2026年4月のリリースを目指しています。学生の知識装着だけではなく、業界全体の知識を深めることで、お客さま一人ひとりに合わせた接し方の重要性が伝えたいと考えています。誰もが美容室で気持ちよく過ごせる環境づくりを推進するきっかけにできれば嬉しいですね。最終的には、美容師の離職率が低減し、「美容師はいい仕事だね」と認知されるような業界にしていきたいです。

(写真提供:学校法人ロイヤル学園)

「ロイヤル学園に関わるすべての人へ教育を通じて感動を提供し、社会に貢献する」という学園理念に基づいた社会貢献活動に取り組む
(学校法人ロイヤル学園ホームページより)
学園のブログには日々の社会貢献活動がつづられている
(学校法人ロイヤル学園ホームページより)

SCHOOL DATA

  • 学校法人ロイヤル学園

    学校
    大阪ベルェベル美容専門学校、神戸ベルェベル美容専門学校、熊本ベルェベル美容専門学校、大阪ベルェベルビューティ&ブライダル専門学校
    URL
    https://www.belebel.ac.jp/

EDITORIAL NOTE

インタビューした清水さんが最も印象的な変化として挙げられたのは、生徒たちの行動変容です。

祖母が車いすユーザーなのである程度分かっているつもりでしたが、まだまだ知らないことが多くて勉強になりました。
「お声がけの仕方だったりサポートの仕方など自分の行動が変わると思いました。」

など、検定受講後に具体的な声も挙げられています。これまで障がいがある方にお会いしても、「どうすればよいのか分からない」と固まっていた生徒が、「何かお手伝いできることはありますか?」という最初の一言が伝えられるようになったことは、「お客さま一人ひとりと一緒にできることを考える」ことに気づいたことにほかなりません。

学生の段階からインクルーシブについて深い学びを得ることは、社会に出た際の「さまざまなお客さまに対応できる力」を育むことにつながります。卒業生が業界にもたらす変化が、今後ますます楽しみです。

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