第3章優れた人材を輩出するサロンへ
「スタッフを育てることが
僕のやりたいことであり、使命」
スタッフ目線の働き方を用意されていますが、スタイリストとして活躍する以外のキャリアプランはありますか?
スタッフが40代、50代になっても一緒に働ける形を作っていきたいと考えています。スタイリストは本人の希望や努力、周囲の推薦によって店長、副店長、マネージャー職を担う幹部へと進みます。その後はプレイヤーを続ける他に、役員になるか、自分の店を持ってマネジメントをするかが選べる。出店方法は「FILMS」の店舗代表、社内の別ブランド代表、社外の別ブランドオーナー、FCオーナー、という4つの選択肢を用意。努力した人がチャレンジできるキャリアプランを用意することが、「働きがい」につながると考えています。
幹部スタッフを対象に、人材マネジメントとリーダーシップに特化した勉強会も実施しています。ここ数年で、15人いる幹部も成長してくれて、僕自身も気づかされることが多く、感謝しかないですね。
任せられる方が、きちんと育っているんですね。
今後、何店舗にまで広げたいなどの目標はありますか?
数が目的になると、会社として大切にしたい部分とズレが生じてしまうので、店舗数の目標はないんです。出店はあくまでも手段であって、大事にしたいのはスタッフの気持ちと、「“記憶に残る”を創造し、関わる人の可能性を広げる」という経営理念。
出店計画としては、スタッフから自分の出身地にも出店してほしいという要望があった長野や山梨、名古屋は検討段階です。国内基盤がしっかりと固まったら、ゆくゆくはアジア進出にもチャレンジしたいですね。
事業の広がりは?
心地いい空間とサービスを提供するのが自分たちの強みなので、そこを活かして「ライフスタイル事業」へと広げていきたいです。2025年にオープンしたヘッドスパサロンと、ECストアもその一環。密接な関係性を築けているお客さまが多いので、そういった方々が利用できる場所をつくりたい。ワンちゃんのトリミングサロンを美容室の隣に出すとか、あとはサービス業全般に広げていけたらいいですね。
スタッフ想いの若林さんですが、望むことはありますか?
スタッフたちとフラットな関係になれたらいいな、と思います。これまでは僕や役員が主導でやってきた面が大きいですが、それだと「代表と従業員」という縦の関係性です。横のフラットな関係になるには、スタッフそれぞれが代表や役員になる必要がある。だから彼らを育てることが、僕のやりたいことであり、使命だと思っています。
美容師って人気サロン出身で知名度があっても、独立するとうまくいかないケースが多いと感じています。でも、「FILMS」で技術力・人間力やマネジメント、店舗管理など総合的に学べば、卒業しても活躍できると思うんです。
あ、もちろん、ずっといてくれたらうれしいですけど(笑)。どんな道に進むとしても応援したいし、切磋琢磨しながら付き合っていきたいですね。
労働環境を意識してサロンづくりをしてきた若林さんですが、美容業界全体の労働環境の現状を、どのように見ていますか?
正直、まだ課題は多いと感じています。会社は、トップの資質によって大きく変わるもの。だから僕は、業界構造を変えるというより、優れた経営者が増えれば、自然と業界全体がよくなっていくと思っています。
「人を大切にするサロン」を軸に、一人ひとりの成長も大事にしてきました。それぞれが成長することで、発言力や発信力も高まります。その姿を見て、若い世代も“人を大切にすること”に本気で向き合ってくれたらうれしいですね。
そして、優れた人材を育て、世の中に送り出していく存在になること。「FILMS」が、そのロールモデルのひとつになれたらと考えています。
FILMSは飲み会の機会が多いという。
『インスタを見ると、スタッフ同士は毎日のように誰かしら行っていますね。僕もスタッフに誘われて、ここ2日間連続で参加しました(笑)』と、若林さん。
スタッフのほうから声がかかるというのは、それだけ慕われている証しだろう。
幹部向けの評価制度には、「仕事の速さ・レスポンス」「行動力」「ポジティブ思考」などの項目が並ぶ。まさに、若林さんのスタンスそのもの。
『会社は、トップの資質によって大きく変わる』という言葉があった。
若林さんの人間力に引き寄せられるように、同じ志を持つ人が集まってくる。
その連鎖こそが、FILMSの強さを支えているのだ。














