第3章なぜ離職しないのか?
「人間教育は、DX化しない。
だから離職がほとんどない」
ORIGAMIさんは、恵まれた労働環境も特徴ですね。
うちは、スタッフの働きたい時間・曜日に来てもらうフレックス制。極論を言えば日曜・祝日も休んだっていい、今はみんな気を遣って出てきてくれますが…。偉そうに聞こえてしまうかもしれませんが、「お客さまがサロンの営業日に合わせていただけるくらい、自分たちの力をつけよう」と話しています。
また、給与は歩合制ではなく、固定です。賞与があり、みんなで利益を分配する形。単純に、売上が高い人が、給料が高くなるわけではありません。歩合だと、「高単価のお客さまを担当すれば得する」など、優先順位をつけてしまうことも…。なので、チーム達成型にしています。
離職率はいかがですか?
正社員でいうと、ここ5年は稼業継承と旦那さんの転勤があった2名を除いて、辞めていません。うちにはキャリアコンサルタントがいる人材チームがあり、定期的にスタッフと面談しています。スタッフ一人ひとりに合わせたキャリアデザインを描いてあげることで、モチベーションアップに繋がっていますね。過去に「自信がない」「向いていない」と悩みを持った子も若干名いましたが、「ORIGAMIにはいたい」という気持ちがあれば、「メインの担当業務を変えよう」「働き方を変えよう」と対策ができる。
また最近では、頼りになる先輩スタイリストも育ち、キャリアが浅い美容師に対して、積極的に面談しアドバイスをしてくれています。
離職って、「人間関係」がうまくいかなかったり、「将来が不安なとき」に起きるもの。現在スタッフは17名いますが、人間関係は良好だと思います。僕も、スタッフに厳しく接する時もありますが引きずらないし、仲はいいですね。
また、「DX化しない」部分も大切にしています。何か問題が起きたら、直接会ってしっかり話す。また社内の至るところにホワイトボードがあるので、図解しながら「ああでもない、こうでもない」と話し合うことも。ヘアアレンジなどの技術教育は動画化していますが、考え方・方針・我々が目指しているものといった「人間教育」はDX化しません。
「リーダー研修」でも、講師を複数名たてて、「大切にしたい事」「活躍できる人材」といったスタンスを学びます。売り方なんて、二の次。気持ちさえ変われば、誰でも売上をあげることはできます。
なるほど。ちなみに、採用の応募は?
新卒採用では、サロン見学に来た学生は、ほぼ100%受験してくれます。動画を多く活用していることが影響しているのでは?これは専門学校時代に感じたことですが、学生は「人間関係のよさ」を気にします。なので、そこが伝わるように社員旅行やバーベキューの動画を流したり…。あとサロンワークやブライダルの様子も、動画のほうがリアルに伝わります。それもあって、新卒の子に志望理由を聞くと「新卒採用説明会での動画がかっこよかった、心を打たれた」という声が、とても多いんです。
採用率は新卒採用で5割、中途採用はさらに厳選採用にこだわっています。実際の応募者から採用に至る採用率は、全体で3割くらい。オンライン上で「ストレス耐性チェック」、「コンピテイシーテスト(目標達成意欲)」「EQ測定(心の知能指数、と呼ばれるもの)」を行い、共感力とポテンシャルの高い人だけを採用します。またリファラル採用(社員からの紹介)も導入。会社をよく理解しているスタッフからの紹介なので、定着率が高くなります。
休みも給与もしっかりあって、多様なキャリアデザインが描ける。技術・接客の統一がされているので、成長スピードも速い。そこにやりがいが生まれることで、離職がほとんどないんです。