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訪問美容~データ&実例編~

超高齢化社会を迎え、サロンの潜在市場として注目される “訪問美容”。
データや実践事例を交えて訪問美容の可能性について考えていきます。

vol.68

実例編福岡エステサロンが挑む訪問美容。1年で軌道に乗れた理由は?

福岡市の「介護福祉美容訪問サービスひまわり」および「ソシオエステサロンLibra」代表の川田美歩さんは、ご自身の病気の経験を経て介護美容を学びはじめ、2023年に訪問美容をスタート。サロンワークと両立しながら、現在では介護施設3件、個人宅15名ほどのお客さまにサービスを提供しています。今回は、川田さんに訪問美容を始めたきっかけや、活動の道のりについてお話を伺いました。

介護福祉美容訪問サービスひまわり(ソシオエステサロンLibra)

  • 全スタッフ1名
  • 1店舗
代表:
川田美歩さん
訪問美容開始:
2023年
訪問施設数:
3施設
施設訪問頻度:
月1~2回
訪問個人顧客数:
15名
個人顧客訪問頻度:
月2~3回
訪問スタッフ:
1名
価格:
介護施設・個人宅ともに30分4,400円、60分7,500円~(フェイシャルエステ、フットエステ、ハンドエステ、ケアネイル、ケアメイクの中からメニュー選択)、高齢者以外の訪問エステ60分1万1,000円~、美容講座1時間1万5,000円(介護施設にて10名まで)※すべて税込価格

Q

訪問美容に関心を持ったきっかけは?

A

闘病していた時期に訪問美容を知り、感銘を受けました。

7年にわたる闘病…美容の仕事を諦めかけたことも。

結婚・出産・離婚を経て、2003年に自宅マンションでエステサロンをオープンしました。子供がぜんそくで入退院を繰り返していたので従業員として働ける状態ではなく「自分で経営するしかない」と思い、親のサポートを受けながら必死にサロン経営と育児を両立させていました。ところが30代後半で子宮がんという大きな病気を患い、7年間にわたって入退院を繰り返す生活を送ることに。抗がん剤治療の副作用で髪が抜けたり、皮膚がボロボロになったり、手術の後遺症でリンパ浮腫を発症したり…一時は「美容の仕事を諦めてしまおうか」というくらい心身ともに落ち込みました。そんな時にSNSの広告で介護美容スクールを発見。高齢の方々が美容の力で元気になっていく動画を見て、深く感動しました。自身の闘病経験とリンクし「こんな素敵な仕事があるんだ!絶対にこの仕事がしたい」と決心しました。

  • 「介護福祉美容訪問サービスひまわり」代表の川田美歩さん。小さかった息子さんも今は成人し、元気にいろんなことに挑戦している

  • 「ソシオエステサロンLibra」の施術スペース。個室が2部屋あり、ベッドは全部で3台置いてある

スクール通学や訪問介護の経験を通じて、知識や技術を習得。

2022年に介護美容スクールに入学し、1年間通いました。技術は既にあったため、学校では主に介護の知識と、介護施設での現場実習を通して介護美容に特化した技術などを学びました。たとえば力加減などです。高齢の方への施術はとにかくやさしく、ゆっくりと行う「引き算」が大切なのだということを教えていただきました。また、高齢者のリアルな生活を知るために介護職員初任者研修の資格を取得し、訪問介護の仕事にも従事しました。この経験から、個人宅にも介護美容のニーズが必ずあると確信しました。在学中から体験会を自分で開催したり、私の母の友人にシニアモニターになってもらったりと、介護美容の認知活動・施術前後の事例収集に励みました。

  • 訪問美容の道具一式。造花を一緒に持っていくと喜ばれ、写真撮影の際の小道具としても使えるそう

Q

どうやってお客さまを増やしていきましたか?

A

イベント、直接営業、サロン顧客の紹介などを経てお客さまが増えていきました。

シニア向けイベントのチラシを見たご家族から連絡があったのが始まりです。

はじめてのお客さまができたのは、学校に通い始めて半年ほど経った頃でした。シニア向けイベントのチラシを見た、高齢者のご家族からの問い合わせがきっかけで、最初の介護施設への訪問につながりました。最初は個人利用でしたが、その後施設の方と話す機会を得て、最終的に施設全体との契約に結びつきました。

個人宅の顧客獲得は、訪問介護の経験から、ビフォーアフターが分かりやすいフットエステから提案を始めました。そこから口コミで徐々に広がり、顧客が増えていきました。介護施設へは、卒業後すぐにプレゼン資料を作成。50件ほどの施設にチラシを配る飛び込み営業をしたものの、連絡があったのは1件のみでした。施設では契約まで至らなかったものの、施設長の方から「このサービスは利用者さまもご家族も喜ばれる」という評価をいただけて、自信につながりました。苦手だった営業を続ける意欲もわいてきましたね。

  • 訪問美容のチラシ。メニューや料金のほか、実際のお客さまの喜びの声も掲載している

  • チラシにお客さまの写真を載せることで、これまでの実績のアピールにつながっている

サロン顧客からの紹介で契約に結びついたことも。

現在の介護施設との契約3件の内訳は、有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)・デイサービスです。サ高住の契約は、長年サロンに通ってくださっているお客さまの配偶者の方が施設で働いていた縁で、イベント参加からつながりを得ました。デイサービスの契約は、SNSで問い合わせがあり、無料体験会を経て美容講座(美容レクリエーション)として定期利用に発展しました。お客さまが増えたため、営業に行く頻度は減りましたが、今も月に3~4件ほどの施設へ営業に伺っています。お断りされた施設にも、半年から1年程度の期間をあけて再連絡することもあります。そのくらい経つと施設長も代わっていることが多いので、改めてお話をさせていただいています。

  • 川田さんが作成した、無料体験会のチラシ

Q

訪問美容で利益を出せるようになったのは?

A

1年ほどで軌道に乗ってきました。

個人宅での訪問美容・介護施設との契約、2023年からの講師活動、そして2025年9月からフェイシャル塾(スクール事業)を始めたことで、事業全体として安定しました。フェイシャル塾では、今後介護美容・訪問美容に取り組みたいという方向けに、技術やノウハウをお伝えしています。現在の売上は、サロン4:訪問美容3:スクール3のようなイメージです。活動時間でいうと、サロン4:訪問美容4:スクール2くらいでしょうか。事業開始から約1年で、訪問美容を軌道に乗せることができたと感じています。

  • 訪問エステの様子。介護施設では椅子に座った状態で施術を行っているそう

Q

今後の夢や目標は?

A

高齢になっても「美容は贅沢ではなく、当たり前の存在」になれる世界を目指したい。

訪問美容のやりがいは「マイナスをプラスに変えられること」。

訪問美容の大きなやりがいは、病気や障害・孤独といった困難を抱える方を美容の力で「マイナスからプラスに転換」できることにあります。施術を通してお客さまの心がほぐれ、癒されていくのを実感できることに、大きな喜びを感じています。

美容を通じて「お客さまが本来の自分に戻るお手伝い」をしたい。

今後は緩和ケア病棟での活動や、精神疾患がある方への美容ケアに取り組んでいきたいと考えています。美容を通じてお客さまの社会復帰や、「本来の自分に戻るお手伝い」をしていきたいのです。美容が「贅沢」ではなく、高齢になっても「生活に必要なもの」として受け入れられる時代が来ると信じています。美容ケアが受けられる施設が増えることで、ご本人・ご家族・施設みんなが喜ぶ三方よしの明るい高齢化社会の実現に貢献できたら嬉しいですね。また、今後はフェイシャル塾の生徒など、業務委託の形でスタッフを増やし、訪問美容の活動を広げていきたいと思っています。

  • ケアネイルの様子。施術中の会話も訪問美容の大切な価値となっている

川田さんからひとこと

新しいことに挑戦する時、不安や葛藤はつきものです。私もそうでしたが、やはり介護施設に営業に行くのは緊張するし、不安もありますよね。でも勇気を持って、とにかく一歩踏み出すことが大事です。あれこれ頭で考えるより、行動するしかないんです。答えは現場にしかありません。失敗も経験のひとつ、成功するために必要なものだと思って恐れずに挑戦してください。お客さまの笑顔や「ありがとう」が返ってくると、それがやりがいとなり、やがて自信へとつながっていきます。自分がやりたいことを諦めずに、泥臭いと感じることも、ぜひ地道にやり続けていっていただきたいです。

Salon Data

介護福祉美容訪問サービスひまわり

アクセス
西鉄 天神大牟田線 大橋駅より徒歩5分
創業年
2023年 ※ソシオエステサロンLibra創業は2003年
店舗数
1店舗
設備
ベッド3台
スタッフ数
1名
URL
https://www.instagram.com/kaigobiyou_miho/
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