サロンで働く先輩女性たち

長く活躍しているさまざまな女性スタッフに、どんなキャリアを歩んできたのかインタビューしていきます。
自分なりの「なりたい私」を見つけてください！

vol.42

初のママスタイリスト、そして初のパートという働き方。
ママとして働く道をつくってきた歩みとは？

広島市内で4店舗展開する「RizE」グループ。2児のママである小林さんは、グループの中でもハイソなお客さまがメインの「StecuR（セテクーラ）」で週3日、自分のペースで勤務中です。
「パンチの効いたオーナーとの出会いがよかった」と語る小林さん。ずっと働きつづけるために、女性としても輝きつづけることが大事と、自分磨きも怠りません。そんな小林さんのスタイリスト人生についてうかがいました。

Staff Data

小林聖子さん 39歳

スタイリスト。
StecuR（セテクーラ）勤務（広島市中区）※「RizE」グループ
スタイリスト歴17年。既婚。小学校5年生の女の子と小学校1年生の男の子のママ。
現在は、週3日、10:00〜18:00のパート勤務中。

小林さんのLife History

★…ターニングポイント

18歳

高校卒業後、友人の紹介でサロンに就職。
通信教育で美容師の勉強をしながら、アシスタントとしてがんばる日々。
22歳

念願のスタイリストデビュー。
お客さまが増えて、充実した日々を送る。
23歳

仕事の幅を広げたくなり、着付けに興味をもつが、
勤めていたサロンにはメニューがなく、転職を考え始める。
そんな時、知り合いから「パンチのあるおもしろいオーナーがいる」と紹介され「RizE」に入社。
25歳

かねてからおつきあいしていた彼氏と結婚。
子どもはすぐほしかったが、しばらくできなかった。
27歳

妊娠が発覚。
しかし、ちょうどその時に、サロンの同僚スタイリストが事故で亡くなりサロンが大変な時期だった。
「自分の妊娠が迷惑をかける」と思い、なかなか言えずにいたが、報告したらオーナーが瞬時に「おめでとう！」と言ってくれて嬉しかった。

長女出産。
長女が生後4カ月のときに時短勤務で復帰。
29歳

長女が小児ぜん息でサロンを休まなければならないことが頻繁にあり、「これ以上迷惑をかけられない」と、長女が1歳半のときに退職。
その後は全く別の仕事で、パートをして過ごしていた。
31歳

長男を妊娠・出産。
33歳

★「RizE」の後輩の結婚式に参列した際、オーナーから「戻ってこない？」と声をかけられる。
美容師に戻りたい気持ちがある一方、２児の子育て中だったため、また迷惑をかけるかもと迷う。
オーナーからの提案で、店で第1号のパート勤務で復帰させてもらうことになる。
38歳~

新店舗「StecuR（セテクーラ）」のオープンとともに異動。
現在は木金土の週３日、10:00〜18:00のパートとして勤務。

スタイリストを目指して、通信教育で学びながら技術取得に励んでいたころ
「RizE」に入社後、結婚が決まった頃（右から2番目が小林さん、左から3番目がオーナーの林さん）
長女が産まれたころ。小児ぜん息でサロンを休むこともしばしばだった
子どもたちと。体が弱かった長女もいまはすっかり元気になった

小林さんへのインタビュー

小林さんが「出会えてよかった」というオーナーの林美千代さん。やさしさと強さを兼ね備えた男前女子

Q. サロンが大変なときの妊娠。オーナーに報告したときの反応が予想外だったそうですね？

A. みんなが大変な時期だったのに、心からお祝いしてくれて嬉しくて泣いちゃいました。

長女を妊娠したのは、まだサロンのスタッフが数名のころ。しかも、私と同じキャリアのスタイリスト仲間が事故で亡くなって、サロン全体が精神的にも仕事的にも大変な状況でした。「いま自分が妊娠したなんて言ったら、みんなにすごく迷惑がかかる」と不安で。それなのに報告した瞬間、オーナーがすごい笑顔で「おめでとう！」と言ってくれて、ビックリして泣いちゃいました。あの状況で人のお祝いができるってすごい人だと。いつも怒られてばかりでしたが、「オーナーに出会えて本当によかった！」と心底思いました。
入社した頃、ちょうどオーナーが妊娠中で、切迫早産で入院までしたのに出産前日まで働いていたのです。だから私もそうしようと思っていましたが「お願いだから休んでくれ」と言われ、予定日の10日前から産休に入りました。産後はすぐ保育園に入れたので、長女が生後4カ月のときに、10:00〜18:00の時短勤務で復帰しました。

美容師から約4年間離れて、「やっぱりこの仕事が好きだ」とあらためて感じたそう

Q. お子さんの事情で一度「RizE」を退職され、復帰を誘われたときの気持ちは？

A. うれしかったです。でもまた「迷惑をかけるかも」と思いました。

妊娠前は仕事を辞める気は全くありませんでしたが、長女が小児ぜん息で保育園からの呼び出しがあまりにも頻繁で、「これ以上サロンに迷惑をかけられないから、辞めさせてほしい」と退職しました。その後、違う仕事でパートをしたりして長男を妊娠・出産しました。「RizE」の後輩の結婚式でオーナーと再会したときに「お店をひろげるから戻ってこない？」と声をかけていただきました。パートをしながらも「やっぱり美容師をやりたい！」と思っていたので、「お手伝いさせてください」と答えました。
でも、ふたりの子育てをしながら働くことでまた迷惑にならないかと……。そうしたらオーナーが、「無理のない範囲でパートでもいいから」と言ってくださいました。それまで「RizE」にはパート勤務はいなかったのですが、初めての試みでやらせていただきました。今ではママになった後輩たちも、自分の希望の働き方ができるようになっています。

目の肥えたお客さまに満足いただくサービスができるのも、ベテランならではの技術と接客力だ

Q. 今後はどのような働き方をしていきたいですか？

A. 子どもの手が離れたら仕事にシフトして、ずっと輝きつづけていたい。

自分がやりたい仕事ができて、子どもも育てられて、ふたつのことができる幸せを感じながら仕事ができています。子どもが中学生になったら手も離れるので、また仕事にシフトしたいと思っています。でも、その頃自分は40歳を過ぎています。ずっとお客さまに求められるよう、年齢を重ねても輝きつづけられるように努力中です。そのお手本がオーナー。美容に関して貪欲で、自分でコスメを作ってオリジナルを販売しているくらいなので、自分も見習って女子力が落ちないようにしたいですね。
昨年から、年齢層も収入も高めのお客さま向けの新店舗に配属になりました。オーナーが私ともうひとりのベテランメンバーのために作ってくれたようなサロン。一人ひとりのお客さまへの接客密度がいっそう濃くなるので、人間力も試されます。オーナーとお客さまの期待を裏切らないよう、これからもがんばりたいです。

若手女性スタッフへ、メッセージをお願いします！

　私はオーナーに恵まれて、働き方も選ばせてもらって無理なく仕事と子育ての両立ができています。初めてオーナーに会ったときに「この人なら意見を聞いてくれそうだからついていきたい」と思って転職しました。妊娠や子育て以外でも、自分の話を聞いてくれないオーナーの下で働くのは苦痛でしかないですよね。女性としてのターニングポイントを迎えたときに、まず「自分がどうしたいのか」オーナーと話をしてみてください。理解を示してくれなければ、自分の人生のためにサロンを替えるのもありだと思います。