市場を捉えたクーポン更新で「飽きさせない」を仕組み化
サロンに新しいお客さまを呼び込み、そして通い続けていただくためには、お客さまに常に新しい何かを提供し、「飽きさせない」ことが重要だ。
ホットペッパービューティーのサロンページでは、開くたびに新しい発見がある状態を目指し、エリア内の競合サロンの動きなどを独自に分析しながらクーポンの内容を頻繁に入れ替えている。
どのジャンルには勝機があり、どこは難しいのか、徹底的な調査を欠かさないのが強さの秘訣だ。
あわせて意識しているのが、季節ごとの悩みへのアプローチだ。花粉によるダメージをケアする春限定メニューや、夏の清涼感を追求したメニューなど、その時々のお客さまの希望に寄り添う提案を打ち出している。
この「常に動きがある」状態が、新規客の獲得だけでなく、既存のお客さまのリピート意欲を刺激するフックとなっている。

スタッフの個性に寄り添い「長所を最大化」
多くのスタッフを抱えるサロンにおいて、全員の技術レベルを完全に均一化することは容易ではない。しかし、プロとして一定以上のクオリティを維持することは必須である。
Ursus hair Design by HEADLIGHT 上越店では、この課題に対し、スタッフ全員を一律の型に無理やりはめ込むのではなく、それぞれの長所を伸ばすことで対応している。
基礎的な技術はおさえた上で、それぞれのスタッフに必ずある「強み」を活かした専用クーポンを作成するなど、個々の武器をサロンの売りに変える仕組みを構築している。
このプラス思考な育成方針は「スタッフに心理的にも実務的にもなるべく負担をかけたくない」という思いからきている。
結果として、この個を尊重する姿勢が、スタッフの主体的なスキルアップを促し、お客さま一人ひとりに合わせた、バリエーション豊かで高品質なサービスの提供に繋がっている。
「ゆとり」で生み出す質の高い接客
効率を重視しすぎて時間に追われて施術にあたってしまっては、マンツーマン接客の質を維持することはできない。
施術にはそれぞれ、基本とする時間を定めているが、その時々の予約状況に応じてスタイリストの判断で施術時間を柔軟に調整することができる。
例えば、本来は2時間で収める施術だとしても、次に予約が入っていなければ、2時間半を使って対応することも可能だ。
スタッフにとっては「時間に追われてやりたい施術ができない」というストレスが解消され、お客さまにとっては、細かな要望までプロとしてのこだわりを尽くしてもらえる安心感に繋がる。
この精神的なゆとりが生む丁寧な対応こそが、お客さまからの深い信頼に繋がり、リピート来店へと結実している。

インタビュー
オーナー 西 勝己さん
1983年生まれ、新潟県出身。地元の大手チェーン店で研鑽を積み、2019年、株式会社ヘッドライトのビジネスパートナー制度を利用して独立。「スタッフが自慢に思えるサロン」を理想に掲げ、上越エリアを代表する人気サロンへと成長させた。
―サロンを経営する上で、スタッフの皆さんに守ってもらっている働き方のルールはありますか?
実は、お店として決めている細かいルールはほとんどないんです。スタッフはそれぞれに、働き方で大切にしていることが違いますから。
出勤時間も正社員・業務委託ともにそれぞれの希望に任せています。少し遅く出勤する人もいますし、帰る時間もバラバラです。土日に休みを取るスタッフがいても、僕がそれを制限することはありません。基本的には「自由出勤」という形にしています。
―12席という規模で、そこまで個々の裁量に任せてしまうと、現場が回らなくなる不安はありませんか?
月のトータルで見たら、そんなに問題はないかなと思っています。もちろん、一日単位で細かく見ると、「ああ、今日はちょっとスタッフが少なくて寂しいな」と感じる日はありますけれど(笑)
でも、基本的には個々人の意思を尊重して、のびのびと働いてもらいたいんです。スタッフを信頼して、彼らがやりづらくない環境を作ること。そこをいちばん大切にしています。
―その「信頼」という部分で、スタッフの方とのコミュニケーションで意識されていることは?
何か問題が起きたときや言いたいことがあるときに、ちゃんと言うことができて、解決に向かって動く関係づくりですね。
それから、なるべくフラットに話せる関係を目指しています。
スタッフ同士も仲が良く、価値観や共通認識が近い人がそろっているように思います。僕からそんなに何かをうるさく言わなくても、自然と伝わっているなと思うことが多いです。
―定期的なミーティングなどは行っていますか?例えば、クーポンなどその時々のサロンの戦略を共有するにはどうしていますか?
定期的なミーティングなどは特にないんです。
何かを決めて「こういうものを始めるよ」という時にはグループLINEなどで共有します。「なぜやるのか」をセットで伝えることは意識していますね。スタッフもプロですから、背景さえ理解すれば、割とスムーズに動いてくれますね。
―「サロンのスタンダード」を維持するといった面などで、苦労することはないんですか?
そもそも、何かに従ってもらうというより、常識の範囲内であれば自由にやってもらう、というスタンスなんです。
人によって個性があるので、接客なども違って当たり前。スタッフそれぞれの自主性に任せています。
もちろんそれで、ちょっと問題になったり、議論になったりすることが出てくることもありますが、全体的にはうまくいっているな、と感じます。
―大手チェーンのビジネスパートナー制度の中にあることは、その「自由な経営」の制約にはなりませんか?
いえ、僕の場合はむしろ逆だと思っています。
もちろん「結果を出していること」が大前提ではありますが、その上で自分のやりたいことを相談すると、本部の方は全面的にバックアップしてくれるんです。
―「全面的に」というのは、具体的にはどのような形ですか?
例えば新しい施策を提案したときに、「それをやることでどういうメリットがあるのか」「どの程度の勝算があるのか」という展望さえしっかり描けていれば、店舗独自の色を出すことを認めてくれます。
「決められたことをやってください」と言われたら面白みがないですが、そういった窮屈さを感じたことはありません。
むしろ、個人で経営するサロンではできないことも、本部の知見やサポートがあるからこそチャレンジできる。安心してトライできる環境があるというのは、ありがたいことですね。
―これから、どんなサロンを目指していきたいですか?
僕の最終的な目標として、「スタッフが自慢できるサロン」でありたいと思っています。ここで働いていることを自慢できて、ずっと働いてくれる。人がやめないサロンづくりは目指していきたいです。
今は、そのために何ができるかをテーマごとに細分化して考えています。集客、待遇、人間関係であるとか。それから、美容師としての成長やサロンとの信頼関係といったこともありますね。
―現時点では、その理想はどのぐらい完成していると思われますか?
自己評価としてはまだ10%ぐらいかな。課題を細分化して捉えていくと、「ああ、まだここが全然できていない」と感じることの方が圧倒的に多いんです。
他のサロンに比べたら恵まれている、と言っていただくこともありますが、他のサロンは他のサロンであって、僕の目指したいラインと比較して考えたら、やっぱりまだ10%ぐらい。
今後は、一つ一つの課題と向き合って解決していく。そこに突き進むのみだと思っています。
取材レポート
さまざまな質問に対し、とても穏やかに、しかしはっきりと答えてくださった西さん。
その言葉の節々からは、スタッフを守り、サロンを繁栄させるという経営者としての強い覚悟が伝わってきました。
自由を重んじるマネジメントと、データに基づいた経営戦略。
このバランス感覚によって、サロンがスタッフにとってもお客さまにとっても「通い続けたい大切な場所」になっているのだと感じました。
「自慢できるサロン」という理想が、100%に近づく日はそう遠くないように思われました。






















